フランス語でBar a Vin(バー・ア・ヴァン)はワインバー。つまりグラス1杯から気軽に色々な種類のワインが楽しめる店のこと。私のペースと量に合わせてしっかり飲んでくれる人と会うときはビストロへ行きボトルオーダー、一人の時はワインバーと使い分け。バー・ア・ヴァンはカウンターでも飲めるからバー、日本で言うところの「立ち呑み」ってやつ。日本に帰りホテルで荷物を解いて駆け込むのは東京なら「立ち喰い蕎麦」屋。大阪なら「立ち喰いうどん」屋。これはディジョンのワインバーでボーヌから北に向うワインを飲み、ボーヌのワインバーではボーヌから南に向うものを飲みたい。飲んでいる場所に近い畑のものを飲む事で頭の中で「葡萄栽培の1年」が走馬灯になるという私だけの変なこだわり。
[163]フランスの光と影
「隣の芝生は青い」とは良く言ったもんだ!と毎日暮らしながらそう思います。不完全燃焼なのは、客観的に自分を凝視出来ないことにあるのを分からずに虹の向こうばかり見てきたから。虹の向こうの憧れは、厳しい現実となり襲い掛かってくる。青かったはずの芝生は踏み込んだら同じ色だった。
日本へ帰る度にフランスファンに会う。フランスが大好きだと言う。フランスに住みたいと言う。フランスで働きたいとも。私もフランスファン、フランスが大好き、フランスに住んで働いている。でもここは海の向こうにいる人たちにブラウン管や誌面を通しただけでは伝えきれない物語がたくさんある。のんびりとした美しい田園風景の裏には都会の混沌とした情景があり、ワインで鼻を赤く染めた人の良いおじさんの笑顔と同じ土地に外国人を蔑視する人も暮らす。