[189]パリでごはん(2)

メトロMichel Bizotが最寄駅のシェナ夫妻経営の民宿に泊まった時にムッシュに安くて美味しくてとってもパリってお店を紹介してとお願いしたら、家から徒歩5分のこの店を教えてくれた。お店の番号を気をつけて探さないと見落としそうなくらい住宅街の一角にあるこのお店は「ベルエポック風」の小さなお店。
私が行った時期はちょうどヴァンダンジュ(ワイン用葡萄の摘み取り時期)が南仏では終わっている時期でヌーボー前のもろみワインが楽しめる頃だったから、食前酒にBernacheという白のもろみワインをグラス1.5ユーロで飲ませてもらえた。これは醗酵途中のワインでジュースとワインの往来途中みたいな軽いもの。季節じゃないと飲めないし、これを出すお店もディジョンですら見たことがない。11月にニュイでこのもろみワインの祭り「ボーリュー祭り」で飲める位かな。

料理は洗練されたというよりも家庭料理に遊び心を加えたような感じ。懐かしい味にちょっとしたお洒落、と思えたのは前菜のマグロのタルタル(たたきの様な物)はトマトソース合え、主菜のマグロのステーキに敷かれたソースがかぼちゃだったのを見て。マグロは油が乗ってるから味も濃いのでどちらかというとシトラスかヴィネガー系のソースで軽く仕上げるのに、トマトやかぼちゃでドドーンと来た、でも食べてみたらワインに合う。この田舎臭そうなアレンジが返って前衛的なフレンチなのかも、と勝手に納得。
私の目線ミッシュランチェック項目は色々ありますが、ここでは配膳のもてなしを評価したい。メートル・ディー(フロア責任者)と思われるムッシュは私を含めて全てのお客様に良く声を掛ける。それも無理のない自然な笑顔で。だから初めてのお客さんも常連のごとくムッシュに心を開く。ムッシュは配膳の後もハーフボトルなのにそれを注ぎに来てくれて、「お味は如何ですか、マグロの焼き具合は十分ですか?」とまるでちょっと良いレストランに行った気分にさせてくれる。もちろん一皿20も30ユーロもするような店ではこれは普通なのかもしれないけれど夜のメニューで30ユーロ以下の店ではちょっと珍しい。これが形には残らないサービスであり、常連さんを増やす技術であるのかもしれない。見習おっと。
Restaurant Les Zygomates
7 rue de Capri, 75012 Paris
01 40 19 93 04

夢路とみこ

[172]マスタード博物館(2)

「マスタード」はフレンチグルメ調味料の代表格としてその本拠地がわが町、ディジョンである事はすでに周知のことですが、近年、ワインの本拠地ボーヌにマスタード博物館が出来て人気沸騰中のため偵察に出かけてみました。本家のディジョンの博物館に対抗して新たに博物館を作るとは大した度胸じゃないの、ちょっと見せてもらおうか、と意気込んで行ってみたら。。。。。あまりの出来の良さに感動してボーヌのマスタードを買っちゃった。美味しければディジョンもボーヌもないわよ、胃袋で融合するわよ、と勝手な解釈をしながら。
ボーヌのマスタード会社「ファロ」のマスタードはミッシュランの星付きシェフからうちの船のシェフまで幅広く使われていて、うちの船のシェフによれば作る料理によってディジョンのマイユかボーヌのファロに替えるらしいけど、どう使い分けるのかまでは企業秘密と言われてしまった、そして、自分の舌でどちらのマスタードを使ったか当てて見ろとも言われて、くぅーんと鼻を鳴らして船のキッチンを去った。ケチー!

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