南仏、夏の風物詩であるアヴィニヨン演劇祭もまたマルセイユやエクス・アン・プロヴァンスの音楽祭とともに中止になってストに突入したとニュースで聞いた。アヴィニヨンは仕事で行く機会も多いし、演劇際の賑わいが好きなのでとても残念。以前ある人からこの町には船の劇場があると教えてもらった。うちの会社は船のホテル、近からずとも遠からず同業者的な近親感を持った。うちの船はその船の劇場のすぐ近くに停泊することがあり時々前を散歩がてらに通った事も。ちょっとアングラな雰囲気が妖艶なのですが、パリでストリップを観たあの勢いでいつか行こう。やはり演劇祭のときに行こう。
フランス人はよくストをする。女の子を引っ掛ける位に頻繁に、そして簡単に。この人たちにとってストのない生活は愛のない生活のように無味乾燥なのかも。いやいやその頻度には呆れるというよりも感心してしまう。君たちいつ仕事すんの?って感じ。ストをしてもそれ程国の機能に影響を及ぼさないところに大国フランスを見る。聞いたところによればトラック野郎のストは地続きの欧州交通網の機能を完全にストップさせるために国境をトラックが横並びにしてとうせんぼするらしい。いわゆる封じ込め、国家軟禁?私が勘弁してよ!と思ったのはごみ回収車のスト、それも真夏。回収に来てくれないから路上のごみの山からは悪臭がするにねずみもご登場。ペスト再来かと怖かった。
[067]ばんちゃん
徒弟制度が根強く残るフランスだから若くして素晴らしい技術を持つ人に遭う事は珍しいことではありません。昔からの徒弟制度がしっかりしている料理界はとても厳しく大半のフランス人修行者が途中で断念してしまう中、若干24歳で、そしてたった一人で22名分のコースミール(オードブル、メイン、デザート)を昼夜作るロレーヌ号の料理人、ばんちゃんには彼の人生を一回り以上上回る私が脱帽。
ばんちゃんがキッチンを任されているロレーヌ号はナンシー近郊からストラスブールまでを6泊7日かけてマルヌ=ライン運河をクルーズするホテルバージ(滞在型遊覧船)、フランス国内の河川や運河をクルーズする弊社の15隻あるうちの1隻。通常は本社で営業や翻訳を担当する私には100名以上いるクルーの全てに会う事はなく、私が船内シェフを知るのは日本人団体の添乗で船に乗る時のみ。