[172]マスタード博物館(2)

「マスタード」はフレンチグルメ調味料の代表格としてその本拠地がわが町、ディジョンである事はすでに周知のことですが、近年、ワインの本拠地ボーヌにマスタード博物館が出来て人気沸騰中のため偵察に出かけてみました。本家のディジョンの博物館に対抗して新たに博物館を作るとは大した度胸じゃないの、ちょっと見せてもらおうか、と意気込んで行ってみたら。。。。。あまりの出来の良さに感動してボーヌのマスタードを買っちゃった。美味しければディジョンもボーヌもないわよ、胃袋で融合するわよ、と勝手な解釈をしながら。
ボーヌのマスタード会社「ファロ」のマスタードはミッシュランの星付きシェフからうちの船のシェフまで幅広く使われていて、うちの船のシェフによれば作る料理によってディジョンのマイユかボーヌのファロに替えるらしいけど、どう使い分けるのかまでは企業秘密と言われてしまった、そして、自分の舌でどちらのマスタードを使ったか当てて見ろとも言われて、くぅーんと鼻を鳴らして船のキッチンを去った。ケチー!

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[083]ブザンソンへいらっしゃい

その昔フランシュ・コンテ地方はこのブルゴーニュ地方、つまりブルゴーニュ大公領土のひとつだったそうな。ブルゴーニュ家最後の公女、マリーが時の神聖ローマ帝国皇帝マクシミリアンと結婚してこの領地もドイツになったけど、ブルゴーニュ家が廃れてルイ14世に乗っ取られた時にフランシュ・コンテも同時にルイちゃんのものになってしまったとな。マキシくんの時はフランシュ(自由領土)だったのにきかん坊のルイになったらぎゅうぎゅうと締められた。中央集権の君だから全て範疇に治めたし。
当時の首都ドールの市民はルイの勢力に楯突いた。フランス人お得意のストライキ。怒り狂ったルイは暴動鎮圧あとには見せしめのために首都をドールからブザンソンへ遷都。お抱えの建築家ヴォーバンに巨大な忍者屋敷みたいな要塞を山の上に建てさせた。さすが太陽王ルイ14世だけあって皆が見上げるような所にとてつもないものを建てた物よ。ブルドーザーやクレーン車のない時代にあっぱれだわ。彼の要塞はフランス各地にあるけれどいずれにせよ、その自由で画期的な発想がすごい。彼のような人が今日いたら大手企業にひっぱりだこか、市場を独占するような大企業家になっていたかも。

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