[098]労働許可証への道(1)

ディジョンに来て駆け足3年半。やっと最近になって正式な労働許可証が下りた。それを手にした時、あまりの感動とこれまでの道程を思い出して思わず目がうるうるしてしまった。海外就職するのはこれで3回目。でも許可証入手でこれほど感慨深かったのは初めてです。
そもそも私がこのディジョンのクルーズ会社で働くきっかけになってのはインターンシップという企業研修プログラムです。米仏と2つの大学に留学しスイス、香港と2カ国で就職したけれど、でもインターンシップを利用しなければ再び海外就職にありつけなかった理由はただ一つ海外は「プロフェッショナル」しか雇わないということ。つまり希望職の経験があることはもとより、外国人を雇うだけの価値(つまり会社に収益をもたらせる)がないとはなから相手にもしてくれません。
今回の就職口にはどうしても古巣である金融業界は避けたかったので未経験の業種に入るにはもうインターンしかなかった。これなら企業研修だからなんとかなったのです。

30代も半ばに入り派遣の仕事に限界と将来の不安を覚え、以前から興味あったワインの世界を求めインターンに参加。希望職種、特になし、希望派遣地、ワインが飲めるとこと大の大人が馬鹿丸出しで面接にそう答え登録から半年後銘醸ワインの産地ブルゴーニュに到着。来て驚異だったのはうちの会長と社長の大胆さ。
祖国イギリスで大手情報会社の記者を経てバージ(船生活者)となりネローボートと呼ばれる細長い船でイギリス運河を巡っていた会長は、それを案に1996 年これをホテルバージ(滞在型観光船)の会社を興しフランスへ乗り込んできた。パリの大手雑誌社で社会派記者をしていたうちの社長、記者時代に知り合った会長の新事業にクルーとして入社。バスドライバーや船長の仕事を経て社長へ。
うちの副社長の船好きもこの二人に負けていない。ディジョン運河公園に自分の船を碇泊し、そこの家族4人で住んでいる。ヴァカンスはもちろん家であるその船でお出かけ。幹部の一人も20年来の船舶業界と船好きがこうじて最近自宅用の船を購入し運河公園へお引越し。運河公園の一部は弊社の船で占めています。
クルーの多くも船を所有している人が多い。私もこの会社に派遣されてすぐに船の虜になりました。船旅が好きだから多少の問題点もなんとか乗り越えられるのです。でもうちの社長は無類の電車好き。日本へ行くと必ず新幹線に乗りたがる。かなり感動したらしい。

夢路とみこ

[088]現地発ツアー

フランスは広い。とてつもなく広いと旅行をする度にそう思う。そしてこの国を旅するのにその移動手段として私は列車を利用します。私の年間列車移動の距離を考えたらSNCF(国鉄)は私を是非広報担当にすべきだ。叉はマイレージ制度がありその点数で航空券に引き換えてくれたら帰国を年一回以上に出来るかもしれない。一人で旅行する程度の仏語会話なら出来るけど、列車の通っていない田舎を旅するために不可欠な運転免許の無い私にとって有難いのは現地発ツアー。
パリには幾つかの日系旅行会社があり面白いツアーを組んでいます。一見高そう、でも内容がしっかり組まれていて、時間配分が有効なので助かる。長い休みを取って一人旅の余裕があるならば現地で1日1,2本しかないローカルバスを乗り継いでの旅も良いかもしれない。でも、田舎の名所は駅やバス停からうんと遠いか、坂がきつい、風光明媚のホテルやシャンブル・ドット(民宿)は車がないと行き無いような場所にあるのがお決まり。そして安くて美味しい郷土料理やワインを出す店もやはり車で向かわなければならない所。ミッシュラン3つ星レストランが田舎の人里離れた場所にあるのは車を飛ばしても行く価値ありだから。でも車なしの一人旅だったらそれはとても難しい。

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