既に何度か紹介していますが私が勤務する会社は、ホテルバージ(滞在型観光船)と呼ばれるタイプの船でフランスの河川や運河をクルーズする会社です。本社はディジョンにあるけれどうちの船はフランス各地をクルーズしているから全てがディジョンにある訳ではなく数隻ならあります。
私は海外で仕事をすると水に関係する勤務地が多く、以前はレマン湖が見え、ヴィクトリア港が見えたりと船や港、水が見えるところばかり。何かの縁なんでしょうね。日本を出るまでは山に囲まれた所だったのに。海は好きでないけれど湖や池は大好き。運河が今一番のお気に入りの水辺。
運河が好きな理由には潮流がないこと。いつも静かだし海のようなベトベト感がない。特に会社の傍にある運河はうちの会社のような観光船以外にもたくさんのプレジャーボートや個人所有のハウスボートがあったりして綺麗。私はここをひそかに「ディジョン葉山」「ディジョン江ノ島」と呼んでいる。まぁ葉山や江ノ島とは全く比較にも成らない位に小さな港ですが、一応に港。
[067]ばんちゃん
徒弟制度が根強く残るフランスだから若くして素晴らしい技術を持つ人に遭う事は珍しいことではありません。昔からの徒弟制度がしっかりしている料理界はとても厳しく大半のフランス人修行者が途中で断念してしまう中、若干24歳で、そしてたった一人で22名分のコースミール(オードブル、メイン、デザート)を昼夜作るロレーヌ号の料理人、ばんちゃんには彼の人生を一回り以上上回る私が脱帽。
ばんちゃんがキッチンを任されているロレーヌ号はナンシー近郊からストラスブールまでを6泊7日かけてマルヌ=ライン運河をクルーズするホテルバージ(滞在型遊覧船)、フランス国内の河川や運河をクルーズする弊社の15隻あるうちの1隻。通常は本社で営業や翻訳を担当する私には100名以上いるクルーの全てに会う事はなく、私が船内シェフを知るのは日本人団体の添乗で船に乗る時のみ。