[096]パリB級グルメ

TGVで90分強で行けるパリは私にとって東京から横浜に行くような気軽さがあります。パリの良いところは気さくな大都会であり、背筋を伸ばしてキャリアスーツをバリっと着込んでパンプス鳴り響かせるような緊張感があり、他人の目なんて気にしちゃないわよと言いたげな開放感がありと色々な意味でごちゃ混ぜな所が好き。でも誰が本当のパリの人か分からない。誰もがパリの人である、そんなミステリアスな部分が更にこの町を魅力的にします。
私のお気に入りB級ランチは4区ユダヤ人街にあるファラフェル・サンド。これは簡単に言うとコロッケサンド。ああ懐かしい中学生時代の味。部活の帰り道近くのパン屋でコロッケサンドを買い食いしたあの頃、若かった。日本のそれとは違ってピタパンというユダヤ人常食のパン。ポケットの様に口が開いていてそこに酢漬けのキャベツやトマトのざく切りをコロッケと一緒にサンド。ウスターソース代わりに白いドレッシングがかかります。

ユダヤ教の教えに「種無しのパン」しか食べてはいけないという事があるようで。この種無しというのはイースト菌発酵していないぺらぺらのパンを意味するらしい。その種類の中にはクラッカーみたいなものがありよく教会の洗足式に葡萄ジュースと一緒に出て食べます。私の大学がミッション系で定期的にこの洗足式がありました。またピタパンも学食に良く出ました。学校がテキサスで隣がメキシコだったこともあり学食ではこのパンにメキシコ風チキンのマリネを入れてファヒタ・ピタというサンドになっていました。ところ変われば味変わりでパリではコロッケが入りファラフェル・サンド。
パリ4区この界隈、ロジエ通りには幾つもファラエル・サンドの店が並びます。もちろん儀式に使う用具の店やユダヤ教に関する書店もあります。ちょっと驚きドキリとするのは、ユダヤ教司祭、レビを見かけるとき。シナゴーグもあるから司祭を見かけるのも当然なのですが、日本でもディジョンでもあまり見たことないので。彼らはその教義に則り耳の横に三つ編みのお下げをしてそしてそれは深深と被った帽子の横から垂れ下がっています。その独特なレビヘアースタイルを私は失礼ながらいつも凝視。
その厳格な教義と伝統を重んじるこの宗教とそれを守る文化から、おいしいながらもファーストフードであるファラフェル・サンドとの関連が不可思議。でも美味しいから深く考えずに食べてます。
私のお勧めの店:L’As du Fallafel 
34, rue des Rosieres  メトロ:St. Paul

夢路とみこ

[074]トゥールで出会う芸術

素晴らしい芸術作品や珍しいものはパリよりも地方の美術館などの方が多く名作との意外な出会いを求めるなら田舎へ行けというのは本当だと思う。これはブランド品を探すのにも共通するらしい。シャンゼリゼで何時間も行列するよりも地方都市のブティークの方が在庫がたくさんあるようです。
トゥールはパリからTGVで約1時間強。ここは世界でも珍しい芸術品に出会える。わざわざ足を伸ばしてパリから一歩出たフランス芸術観光の価値は大いにあり。
その一つはMusee du Compagnonnage職人の組合博物館。TGVやコンコルド、原発を持つこの国は、ハイテク産業の先端を行く一方でミッシュラン3つ星を獲得するために何年もの修行があったり、人の生き方さえも変えてしまうような素晴らしいワインを造る樽には樽職人の腕次第とデジタルなのかアナログなのかわからない、上手くミックスした国です。それがフランス人の頑固さを作るのでしょうか。頑固とこだわりの職人芸を見るのならこの博物館へ。フランス人ってこんなに器用なんだ、彼らは何事においてもエレガンスとアートを忘れないんだと関心します。

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