[040]発熱とは?

《ふしぶしが痛いのは悪玉プロスタグランジンのせい》

発熱とは体温が異常に高くなった状態のことをいいます。臨床的には「発熱」と「うつ熱」の二つに分けられます。

発熱は、毒素や発熱因子・発熱物質によって体温調節中枢の機能が異常になった場合におこり、平常体温より1℃以上高くなった場合を言います。臨床的には、37℃以上に上昇した場合を言います。

うつ熱は、異常な暑さによって体温の放散が障害されたり、激しい運動などによって放散の限界以上に体熱が生産されることなどで体内の熱量が増して体温が上昇する場合を言います。

からだの痛みを過敏にしたり正常体温を上昇させるのは、体内のプロスタグランジンという物質の生成が関与しています。よく聞くイブプロフェンは、体内のプロスタグランジンができるのを抑え、痛み・発熱に効き目をあらわします。

ところが痛み止めは、痛みを止める悪玉プロスタグランジンを阻害すると同時に胃の粘膜を保護するほうの善玉プロスタグランジンをも阻害してしまいます。すなわち胃のなかでの胃酸分泌と胃粘膜保護のバランスがくずれて胃腸障害などが起こりやすくなります。

ですから消炎鎮痛剤(痛み止め)を服用するときには、胃粘膜の防御を高める薬が同時に処方される事が多いのです。

ところで、発熱の際にアイスノンしたり昔ながらの氷嚢で頭を冷やしたりしますがこれは医学的にはあまり効果はなく気分的なものとされています。

体温を下げるには、わきの下や首(内頚)・脚の付け根(大腿)などの太い動脈のあるところを氷嚢や氷枕で冷やすと、解熱効果あります。最近では脇の下熱さまシートなる商品も出てきました。

尚、解熱剤を使う場合は発汗作用を利用するので前もって水分を十分に取っておく事が大事です。

【追記:匿名希望様】

>ところで、発熱の際にアイスノンしたり昔ながらの氷嚢で頭を冷やしたりし
>ますがこれは医学的にはあまり効果はなく気分的なものとされています。

私には、6歳の息子がいます。発熱すると、お医者様に、必ず頭を冷やすように言われます。人間は、恒温動物ですが、自分で体温調節できない子供は、変温動物的な所があり、周りの影響を受けやすいようです。よって、子供に限っては、上記のように頭を冷やす事は、有効です。

また、子供は、しょっちゅう転んだりして、身体のあちこちをぶつけますが、ほっとくと、すぐに大きなたんこぶができます。しかし、すぐに冷やすと、たんこぶは、できません。このように、子供の身体は、大人と違って、敏感ですね。

【追記:Norio様】

運動した後の発熱などについて少々。僕は体育大学で怪我をしたときとや、運動後ケアを専門にしています。一般にはトレーナーってやつですね。で、ここでちょっと混じって誤解があるかもしれないので一応。

>ところで、発熱の際にアイスノンしたり昔ながらの氷嚢で頭を冷やしたりし
>ますがこれは医学的にはあまり効果はなく気分的なものとされています。

ここの所が少し誤解される可能性があるので少々。この場合は風邪などの病気そのものに対してのことを言ってるのはわかります。風邪などの症状の場合は専門外なので、医学の方に任せます。しかし、これが、捻挫や突き指、打撲などの怪我に置いての発熱だった場合は全く逆で、効果抜群のものへと一転します。外力がかかったりした場合、その部分では、多かれ少なかれ、必ず中で内出血を起こします。その時に冷やすことの意味は、
1、血管を収縮させて血を流れにくくし、内出血を防ぐこと。
2、温度を冷やすことで、内出血によって血が通わなくなった部分の、細胞内の酸素使用量を抑制し、組織の酸欠→壊滅を防ぐ。組織は壊滅すると「炎症誘発物質」(発熱物質)を放出します。
3、冷やすことで、感覚が麻痺し、痛み止めと同様の効果も得られる。

特にその効果は絶大で、捻挫(完全な断裂をのぞいて)をした1分以内にうまく冷やすことに成功すれば、3ヶ月のものが1~2週間で回復できたり、逆にしなければ、1週間が半年なんてこともあります。それは、僕自身が体験したことでもあり、特に受傷後1~3日の初期においては、医者に行って単に湿布をもらうよりもよほどの効果があります。医者に行ってもらうのは「炎症鎮痛剤」であって、血管の収縮をしたり、組織の酸素消費を抑制する力はないからです。スポーツをする方は特に覚えておくと良いのではないでしょうか。

ただ、要注意なのはこの場合は0℃の氷で行うということ。それ以下だったら凍傷になって、かえってまずいです。ちなみに、一般家庭の冷凍庫の氷はマイナス20℃くらいです。それを使用する場合は袋に氷と水をいれれば、0℃ぐらいになります。