[056]天下り

前号のキャリア組の話で同期から次官を一人出すと、ほかの同期生は勇退するのが習わしとなっていると書きましたが、退官したその人たちの行き先が問題となります。

退官するのは50歳代前半ですから、第二の人生を考えなければなりません。そこで天下りです。これを天下り人事といいますが、馴れ合いでやっているようにみうけられますがれっきとした人事です。

国家公務員法によれば、職員は離職後2年間は、離職前5年間に在職していた国の機関と密接な関連のある営利企業に人事院の承認なしには就職できないことになっていますが、実際は柔軟な運用がなされていて、大蔵、建設、通産など各省の高級官僚が民間企業に再就職するケースはむちゃくちゃ多いです。

受入れ企業の方も、人材確保と役所とのパイプ役を期待しているます。もっともそれがなければ親方日の丸の元官僚を受け入れるはずもない。まさに持ちつ持たれつ。

また公社・公団・事業団などの政府関係特殊法人へは「天下り禁止規定」がないため、各省庁の周辺に設立されている特殊法人や外郭団体への天下りも少なくありません。

たとえば(財)交通安全協会などは警察庁の天下り先となっていますが、逆にこういう天下り先を意識的に作り、受皿を作っているともいえます。財団法人は要チェックであります。

ちなみに一般企業人が官公庁に出向し公務員と同じ仕事をすることがあります。これを「天上り」といいます。