[591]化学合成生態系
私たち人類を含め、地表で生を営む生物は太陽の恩恵を受けています。つまり「最初に太陽ありき」であって、その恩恵で我々はその生存が保証されています。もし太陽が無かったら今の形の人類は存在しなかっただろうし、太陽無しではこの先も生きていくことはできません。
太陽は植物の光合成を助け、その化学変化によって色々な物質を作り出し、それが生態系の原動力となっています。元となるのは植物や光合成バクテリア。我々が生命を維持できるのは植物があってのこと。まさに植物様々なのです。
では太陽光の届かない深海ではどうか?、と言うと光合成に変わる化学変化をもって生物が生態系を作っているのです。
例えば深海に住むシロウリガイは、その体内に化学合成バクテリアを共生させて、そのバクテリアが海底から発するメタンや硫化物から栄養物を合成し、それを養分として体内に吸収し生命を維持しています。つまりこれらの貝は太陽光の恩命を受けなくても生きてゆけるのです。これらの生物は、地表面に生息する光合成生態系に対して、化学合成生態系と呼ばれています。
海底からメタンや硫化物が発生するのは、何らかの活動が海底にあるということ。化学合成生態系の生物は、近くにマグマがあったり、地下に活断層が隠れている可能性がないと生息しないし、生息できません。と言うことはこれらの生物の分布を調べることで、海底の地殻変動を推測することができるということです。
海底の地殻はその強大な水圧により、普通なら抜けてしまう気体さえも取り込んだまま保存されています。したがって海底の探査は太古の地球を今に解明することができる重要な仕事と言えるでしょう。
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