[633]麦飯石

ばくはんせきと読みます。中国に古くからある石で、漢方の薬石として2000年の歴史をもっています。腫物や傷などの特効薬として、また内服用の丸薬をを作る時に使う水を活性化するのに使用されてきました。麦飯石を入れた水で調整した丸薬は変質しにくく、薬効が長持ちするため大変重宝されてきたのです。

麦飯石の組成は簡単に言えば火成岩の一種です。火成岩とは地下のドロドロに溶けたマグマが地表近くで固まってできた岩石です。火成岩の中には花崗岩というのがありますが、麦飯石はその花崗岩の一種である石英斑岩、あるいは花崗斑岩に属している石です。見た目が麦飯(むぎめし)に似ていることから麦飯石と名づけられました。

花崗岩の仲間ですから地球上では特に珍しくはないのですが、日本では岐阜県でしか採れないようです。商品として出回っているのは中国産、モンゴル産が多いです。価格は500g前後で3,000円。結構高いですね。

成分の中には、人体に有用な微量元素と希土類が含まれ、水を浄化しておいしくする、臭いを取る、ミネラルを補給して健康によい水をつくる等以外に、遠赤外線を放射するので医療や美容にもその効果が注目されています。農業では無農薬化土壌改良に役立てる研究も進められているようです。

麦飯石は食品添加物にも指定されていますので、添加されている分には食ベても大丈夫です。労働厚生省指定の「医薬部外品」として認可もされています。だから安全で身体にいいとは言い切れませんが、とりあえずは問題ありません。

万能選手的な麦飯石ですが、苦手な面もあります。それは麦飯石で作った水は紅茶には適さないということです。麦飯石で作った水の中には酸化カルシウム・鉄・マグネシウムなどが多く含まれていますが、これらは紅茶のタンニンと反応して、濁った香りの悪い紅茶になってしまいます。ご注意ですね。

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