[673]東洋医学と西洋医学
東洋医学とはインドや中国を中心に発達してきた医学で、身体のバランスを重視した医学です。漢方医学ともいいます。
日本の学術的医学界はオランダを学んだ西洋医学で発達してきました。西洋医学の治療方法は、大きな病院にかかればよくわかるとおり、検査で病気の原因をまずさぐり、その原因を取り除くことによって病気を治すものです。
これに対し、東洋医学では原因を取り除くことよりも元々備わっている健康状態のバランスを重要視します。そもそも東洋医学では「自然と人間のバランスがとれている状態」を健康状態と定義します。
このバランスが崩れてしまうと「病気」になります。それを直すには、バランスをもとに戻し均衡を保てば良いということになります。そのバランスを治すのに役立つのが、つぼ療法や漢方薬、気功、太極拳なのです。
中国の古い書物に傷寒論(漢方医学の基礎)というものがあります。この中に「中医にかかりたるは、かからざるに等し」の一文があります。
中医とは病気をただ単に治す医者のことを言います。そういう医者にかかっても、かからなかったのに等しい、と説いているのです。かかるなら上医でなければならない。上医とは病気を未然に防いでくれる医者のことをいいます。当然「下医」という言葉もあります。これなどはむしろ寿命を縮める医者といえましょう。俗にいう藪医者のことです。
こうしてみると西洋医学でいう医者とは東洋医学の「中医」であることがわかります。西洋医学とて目指すは上医であることに間違いはありません。ということで、最近では西洋医学も東洋医学を取り入れ、予防と自然治癒力を回復することに重点を置き始めているようです。
なお、最近「漢方薬だから安心」という風潮があるようですがこれは大きな間違いです。漢方薬に含まれている成分は化学物質ですからもちろん毒にもなります。漢方だから安心、自然生薬だから安心のというのは誤解です。くれぐれも素人判断はせず、西洋東洋とも用法を守ることはとても大事なのです。