[689]劣化ウラン弾
1991年の湾岸戦争で使われた兵器に劣化ウラン弾があります。イラクではこの影響と思われる白血病やがんが1995年あたりから目立ち始めバグダッドでは専門の病棟も設けられたといいます。
劣化ウラン弾とは天然ウラン(U238)から核燃料となるウラン(U235)を取り出し濃縮したあとの残りかすを利用した兵器です。残りかすなので放射能は微量で体に密着しなければ大丈夫とされます。ただし放射性毒性はともかく水銀に似た科学毒性も有り、また燃えやすいという性質もあるため取り扱いには十分に気をつける必要の有る物質であることには変わりありません。
この劣化ウランはいわば核燃料を取り出す際の産業廃棄物ですが、劣化ウランは非常に重たい為、弾頭に使用することで厚く硬い戦車の装甲をも破ることが出来ます。
鉄の装甲も貫くには鉄以上に高密度な金属である必要があります。劣化ウランは鉄よりもはるかに高密度な為、鉄を貫く能力に優れます。高密度いうことはそれだけ重いということですが、どれくらい重いかというと約200CCのコップいっぱいの劣化ウランは約4kg。同じ水が200gですからいかに重いか分かると思います。
劣化ウランはジャンボ機の錘としても使われていました。本来ならばタングステンを錘として、尾翼などに使用しますが、劣化ウランは安価なためタングステンにかわって使われるようになったとされます。1985年御巣鷹山に墜落したジャンボ機にも使われていたようです。
劣化ウランを弾頭に利用してもそれは核兵器ではありませんから大手を振って使うことができます。劣化ウランを弾頭に利用することで廃棄物再利用にも役立つという一石二鳥の効果もあります。しかし実際に使ってみると、装甲を貫くときに発生する摩擦熱と粉砕による微粒化で劣化ウランは空気中に撒き散らされます。そうなると話は別で、これを吸い込むことによる障害が現地の人民だけでなく、それを使った米軍兵士のなかにも確認されてきています。
湾岸戦争から約12年。その後遺症がいまだにあとを引いている今、アメリカはイラクを攻撃しようとしています。狙いは原油でしょうか。じつはアメリカはその他にも狙っているものがあります。それは北朝鮮に豊富にあるとされるウラン。いろいろな口実を作っても狙いは原油と核燃料。アメリカの行動は単純明快です。
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