[795]安田財閥

みずほ銀行の前身は第一勧業銀行と富士銀行と日本興業銀行。第一勧業銀行は宝くじを発行している銀行で有名でした。それを引き継いでいるから、現在みずほ銀行で宝くじを扱っているというわけです。

日本興業銀行、第一勧業銀行は割引債などを発行して利殖を得意とする商品を販売して大きくなった銀行ですが、バブルがはじけて資産運用が難しくなると途端におかしくなってしまった銀行です。富士銀行は都市銀行、普通銀行ではお金のある銀行として有名で、この三つの銀行が合併してみずほ銀行として建て直しを図ったというわけです。

富士銀行の前身は安田銀行。創業者は安田商店の安田善次郎です。江戸時代の後期に富山で生まれ、江戸に出て両替店に奉公していました。商売が好きで26歳(1864年)のときに両替屋兼鰹節玉子店「安田屋」を日本橋人形町に開店し安田財閥の基礎を築きました。

安田善次郎は42歳のとき安田銀行を開業、55歳の時には安田火災海上保険、56歳の時には共済生命保険会社を設立しています。安田火災海上保険は現在は損保ジャパン、共済生命保険会社は現在明治安田生命として健在です。

銀行、損保会社、生保会社と、金融三大企業を設立している安田ですが、このほかにも財力を生かし、鉄道の普及にも尽力しました。

東京大学の安田講堂は82歳のときに寄付したものですが、この年大磯の別荘で暗殺されてしまいました。日本の明治、大正、昭和初期を支えてきた財界一の立役者であることには間違いありません。財閥の創始者というのは財力もさることながら、情熱が人一倍あったというのが共通項です。

安田善次郎:履歴
1838年(天保9年)富山に生まれる
1858年 20歳 江戸に出て両替店に奉公
1864年 26歳 両替屋兼鰹節玉子店「安田屋」を日本橋人形町に開店
1866年 28歳 日本橋小舟町に移転し両替商に力を入れる
1875年 37歳 栃木県の為替方、金銀取扱の契約。
1876年 38歳 第三国立銀行開業
1880年 42歳 安田銀行(旧:富士銀行、現:みずほ銀行)開業。
1882年 44歳 日本銀行創立に伴い理事になる
1886年 48歳 両毛鉄道(現:JR両毛線)発起人
1888年 50歳 帝国ホテル発起人
1893年 55歳 帝国海上保険会社設立(旧:安田火災、現:損保ジャパン)
1894年 56歳 共済生命保険会社設立(現:明治安田生命)
1907年 69歳 雨宮敬次郎と日本電気鉄道設立を申請
1921年 82歳 東京帝国大学へ安田講堂寄付。大磯の別荘で刺殺される。

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