[799]臭い飯

2013年5月25日

刑務所の中で食べるご飯をよく「臭い飯」といいます。最初は受刑経験者の間で広まった隠語的言葉なのだと思いますが、いつしか悪いことをする戒めに使われるようになりました。「そんなことをして臭い飯でも食いたいのか?」。そんなことをしていると刑務所に入ってしまうぞ、という意味です。

では、刑務所の飯は本当に臭いのかといいますと、現在ではそんなことはない言われます。しかし、監獄と言われていた明治時代や昭和初期では人権さえも無視されがちな刑務所内。食糧事情が良い訳がありません。当然、白飯ではなく麦や外米(輸入米=当時まずい米の代名詞だった)が使われていたでしょう。

しかも、食事が温かいとは限りません。今でこそコシヒカリなどの品質改良米は冷めても美味しいですが、当時の米は冷めたら美味しくないのです。加えて麦飯・外米だとしたら「臭い飯」の表現は妥当だと考えられます。

また、受刑者が食事をする場所は独房です。独房はそこに全ての生活があります。就寝、食事、トイレ・・・。今では水洗トイレですが、以前は汲み取り式です。当然飯を食うときにも臭います。臭い飯といわれる所以であります。

ところで、現在の刑務所の食事ですが、基本的人権は守られ受刑者の健康を配慮し、栄養的にも問題のない食事が出されているとのこと。また外国人受刑者の増加に伴い宗教に配慮したメニューも用意されているとのこと。宗教上の理由で肉を食べない外国人は多いですから。