[835]スギヒラタケ
スギヒラタケを食べた腎機能低下患者が急性脳症で死亡するという事故が発生しています。急性脳症とは発熱、嘔吐、けいれん、意識障害など原因が特定できない脳障害を総称して言います。最悪の場合は死に至ることもありますり。
もともとスギヒラタケは食べられるキノコとして日本ではなじみのあるキノコでした。それが自生環境の変化からなのでしょうか詳細な原因は不明ですが、腎機能が低下している人体に対して、その毒性による発症が確認されました。
なぜ今になって毒性が出たのかは現在調査中との事。日本海側で多く発生しているため、多雨な地域性が関与しているのかもしれません。いずれにしてもこれからはスギヒラタケは毒性のあるキノコとして認識する必要性があるでしょう。厚生労働省や林野庁でもスギヒラタケを食べないよう勧告しています。
スギヒラタケは、キシメジ科スギヒラタケ属のキノコで、スギの切り株・倒木に夏から秋にかけて自生し、それを採取して食用にするものです。北陸、中部、東北地方を中心に、食用キノコとして普通に食されています。
発症する人に共通のことに皆さん山村に住む高齢者であることがあげられます。普通に山菜を取ってそれを食する生活をしている人たちです。若く健康ならば発症しないのでしょうが、高齢というだけで腎機能は低下しており、そういう人たちが発症してしまうのです。
食物には多かれ少なかれ毒性はあるものです。今回の事故は腎機能が低下している患者への発症が確認されましたが、腎臓は毒を外に排出する役目があります。腎機能が低下していると毒が排出されないため、人体に対して作用するわけです。
スギヒラタケは産業として大量に栽培されているわけではないので、店頭に並ぶことはまずありません。したがって、皆さんの食卓に並ぶこともほとんどないので、スーパーで知らずに買ってきて食べてしまう、という心配はありません。また似たような名前の「ヒラタケ」がスーパーなどで販売されていますが、こちらはスギヒラタケとはまったく別物なので安心して食べてください。
キノコはその道のプロでも間違えることが多いので、山歩きをして生えているキノコを安易な判断で食べないようにしましょう。
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