[956]キャッシュフロー(2)
企業の経営を語るときによく使われる言葉に「キャッシュフロー」というのがあります。「キャッシュ」は「現金」、「フロー」は「流れ」。つまり現金が潤沢に上手く流れているかどうかをみるのを「キャッシュフロー」といい、それを上手く生かした経営手法を「キャッシュフロー経営」といいます。
潤沢にある現金は企業の素早い動きを可能にしますので、厳しい時代を生きていかなければならないこれから企業にとって、キャッシュフローは最も重要な要素といえましょう。
日本の企業会計では、利益が出ていることと、現金が潤沢にあることとは別問題です。利益が出ていても、資金不足で不渡りを出し、黒字倒産する場合もあります。赤字倒産はどうしようもないですが、黒字倒産の場合は資金が無いだけなので、不動産などを売却し資金を作ることで、経営を立て直すことが可能です。
なぜ利益が出ているのに現金が無いのか?
例えば、ある商品を商社に売ったとします。商品は動いて売上が計上されます。ところが商社というのは商品と引き換えに現金を支払うとは限りません。約束手形や掛けで買うことがほとんどです。つまりこの時点では、売上は計上され利益はあるのですが、その利益が現金化されていません。20日締めで月末に現金で支払いがされればいいですが、手形などで支払いがされた場合など3ヶ月、ひどい時には6ヵ月後にならないと現金にならなかったりします。
景気が上向いている時は、それでもなんとか経営が成り立ちましたが、昨今では一流企業でも簡単に倒産する時代。利益が上がってもそれがいつ現金化されるかわから無い状態では健全な経営はできるものではありません。
そこで、最近では、損益計算書や貸借対照表などの財務諸表にキャッシュフロー計算書を加えるようになったのです。これにより、損益計算書や貸借対照表ではわかりにくかった現金化された利益の把握ができるようになり、優良企業かそうでないかが一目瞭然となったのです。
このキャッシュフローは家計にもあてはめることができます。例えば年収も多くあり、豪邸をもっていたとしてもそれがローンで買ったものであった場合、年収のほとんどをローンの支払いの持っていかれてしまいます。生活は決して楽ではないものになってしまいます。これではキャッシュフローがよくないですね。家計でもキャッシュフローは健全な人生をおくる上で大事な要素ということができます。