[958]不動産に関する口約束
耐震強度偽装事件のせいで若干勢いがそがれたものの、依然として新築マンションが人気です。これは新築マンションの供給が多く、競争が生じているためで、へたすると中古マンションよりも安い場合があります。東京周辺の利便性のよいマンションが人気のようですね。
さて、気に入ったマンションが見つかって、一度は買おうと思って申込金を払ったものの、色々考えた結果、結局やめにしたい、と思うこともあると思います。断りの旨を先方に伝えたところ、「契約書は交わしてなくても買うという意志を確認したので口約束でも契約になる」といわれることはよくあります。
しかしこういう場合は無条件で契約をやめる事ができます。もちろん申込み金や手付金分のペナルティーなどはありません。なぜなら現在は「申込み」の段階であり、契約には至っていないからです。法的な拘束力が発生するのは「契約」をしてからです。不動産に関して言えば口約束で契約になると言う事はありえません。
不動産の売買は下手をすればその人の一生の問題になります。そのため法律は不動産の取引の場合には間違い勘違いを防ぐため色々なハードルを設けているのです。宅建業法では「契約の前」に「宅地建物取引主任者」が「主任者証」を提示して「重要事項説明を行なう」義務があります。口約束ではこれらは行なわれたとはいえません。
たしかに「民法」には「口約束も有効」と書かれていますが、 不動産取引に関しては当てはまりません。「申込み」段階では「契約」ではないため、それまでの話は白紙に戻すことができます。もちろんその場合に要求されやすい違約金(ペナルティ)も必要ありません。