[1058]月震
月で起こる地震を月震(げっしん)といいます。英語ではMoonquakes。地震はEarthquakes。してみると地震の「地」は地面や地殻の「地」ではなく地球の「地」だったんですね。
地球の場合、地震が起こるメカニズムは、地球深くにどろどろに融けたマグマがあり、それがダイナミックに活動していることに起因しています。内部が液体のためそれが動くと地殻も動き地震が発生します。
月の地震=月震は1969年にアポロ11号が月面に地震計を設置し、その記録により月にも地震があることが発見されたものです。その後月面に着陸したアポロ12号、14号、15号、16号も地震計を月面へ設置し、観測は1977年まで行われました。月震の合計はなんと12558回。月にも頻繁に地震が起こっていることが観測されたのです。
月震の原因は4つあります。
1.深発月震(しんぱつげっしん)
深さ800-1100kmのところで起こる月震ですが、マグニチュード1-2程度と小さく、震源はほとんどが月の表側つまり地球に向いている側にあります。地球や太陽の重力の影響された潮汐が原因で起こっているものと考えられています。
2.浅発月震(せんぱつげっしん)
深さ300kmのところで起こる月震で、マグニチュード3-4程度と大きいですが頻度は少なく原因はよくわかっていません。
3.隕石衝突
隕石の衝突に伴って発生する地面の振動。アポロ計画期間中では500gから50kg程度の質量の隕石が落ちて、それが原因の月震と推定されています。
4.熱月震(ねつげっしん)
月には大気がないため、昼夜の温度差が大きく、そのため岩石が熱膨張と熱収縮を繰り返し、破壊される際の振動が地震計で感知されたものです。規模葉小さいですが、一番多く発生するのがこの熱月震です。
ちなみに、地球上の地震は数秒で収まりますが、月震は一度起こると数時間続くとされます。これは、月の内部構造が鉄の塊でそれが反響しているという説や、空洞になって反響しているとする説など、色々な憶測を呼ぶ原因となっています。
月は地球から発生したのか、それともどこか遠くからやってきて地球の重力にとらわれたのか、それさえもわからない未知の天体であると同時に、我々人類もまだまだ知らないことがたくさんあると思い知らされるのです。