[1127]中国の死刑と臓器売買

世界で死刑が多い国といえばダントツで中国。2006年では世界の年間の死刑執行が約4000件。そのうち3400件が中国で執行されています。死刑執行の数は国家機密のため公表されませんが、実際にはもっと多い7500~8000人が中国で死刑にされていると言われています。人口が多く、その分犯罪も多く、そしてその犯罪の影響が大きいため極刑で対処しなければなら無い事情が中国にはあるようです。

ところで、先日、中国内の日系企業の長瀬博之代表が中国公安省によって逮捕されたというニュースがありました。臓器売買に深くかかわったという容疑です。

中国公安省は16日、中国で日本人に臓器移植を仲介していた「中国国際臓器移植支援センター」(遼寧省瀋陽市)の長瀬博之代表を「不法経営容疑」で逮捕した、と発表した。中国で臓器移植に絡んで日本人が逮捕されたのは初めて。(読売-2007年10月16日)

中国での臓器売買は日本でもよく知られています。先日もNHKラジオで聴いた話では、なんでも暴力団の幹部が腎臓が悪くて悩んでいたそうなのですが、中国に行って臓器移植をし元気になって帰ってきたとか。その臓器は処刑された若い男の臓器だそうで、かかった費用は200万円。そしてその金は臓器移植にかかわった中国の役人で山分けしてそれぞれの懐に入るそうです。ちなみにアメリカで移植手術を受けると800万円以上とのこと。

200万円というと中国では一生暮らせる金額。そういう裏金が横行する中国の組織もすごいですが、移植に使う臓器の確保のため死刑執行が多いのか、と思わず勘ぐってしまいます。実際、中国では臓器提供者のほとんどが死刑囚からの提供だと認めています。

死刑囚からの臓器提供には遺族の承諾が必要で、それに違反して臓器を取り出した訴訟での賠償金は28,000円だったそうです。移植手術が200万円なのに対して安すぎるのが印象的。

それにもまして、安いからとその臓器を買うために恥も外聞もなく移植旅行を行う日本人。長瀬代表によれば2004年1月から2006年3月までの2年間で200人の日本人が中国国内で移植手術を受けているとか。もしかすると臓器移植のために冤罪にもかかわらず処刑されてしまった若者がいたかもしれません。

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