[1281]地盤沈下と液状化現象
舗道のブロックの隙間から噴出する泥水(千葉県浦安市)
東日本大震災で広域に起こった大きな特徴として「地盤沈下」があります。津波に襲われた海岸線地域が波をかぶった後も水が引かず、そのまま水没してしまっているのです。これは地震以前よりも標高が下がってしまったと理解できます。こうなった土地は残念ながら元の高さには戻りません。日本の陸地が狭くなってしまったのです。
今回の地盤沈下の大きな理由は液状化現象によるものです。液状化現象とは、水を含んだ砂地盤が地震などの震動により砂の粒子と水が分離し、水が陸上に噴出する現象です。建物は傾き、土管やマンホールなどは浮き出てしまいます。
海抜の低い地域はその地盤が水を多く含んでいます。しかも元々海岸線ですから砂地盤であったこともあり、水を多く含んだ砂地盤が地震でゆすられて、砂と水が分離し、重い砂は沈下、浮き出た水が路面に噴出すという結果になりました。
液状化現象により露出したマンホール(千葉県浦安市)
液状化現象の発生しやすい場所は、砂丘地帯や河口付近の三角州、埋立地などのほか、旧河川跡や池跡、水田跡などにも発生しやすいことがわかってきました。液状化現象による地盤沈下は千葉県浦安地域の状況が大きく報道されましたが、今回この地盤沈下は広域にわたって起こったと考えられます。
液状化による地盤沈下は地下の上下水道、敷設ガスなどインフラに甚大な被害を及ぼします。地震から2週間も経つのに「いまだ水も出ない」地域があるという事態はこの液状化現象による被害が大きいことを表しているのです。
一度地盤沈下を起こしてしまうと、元には戻りませんから、地表部分の構築物は役に立たなくなります。特に海岸線の津波・高潮被害から守る、防波堤・防潮堤は作り直さなければなりません。一体いくらかかるのか…?
冷静になって改めて考えると、今回の地震、本当に大きな被害をもたらしてくれました。液状化現象により揺すられて水が噴出した反面、地盤は以前より強固になったとポジティブに捉えて前に進むしかありません。