[814]インサイダー取引

2013年5月25日

西武鉄道グループによる株式の売却がインサイダー取引ではないかと疑われている問題が世間を騒がせています。西武鉄道の役員が親会社のコクドに頼まれて取引先11社に株式の売却を持ち掛け、このうち9社が実際に株式を購入したということ。

この場合、役員が持ちかけたということと、この時点では株式の保有割合が上場法に抵触しているということは内部者しか知りえなかった、ということがインサイダー疑惑の発端です。つまり株が下がることを知りながら、株を買わないかと持ちかけたことが問題なのです。

インサイダーとは内部者の意味。社員が自分の会社の株を売り買いするのは別にかまわないのですが、会社の重要な情報に容易に接近しうる者が、そのような情報を知っていて、しかもまだそれが公表されていない段階で、その会社の株券等の売買等を行うと大もうけができる。これは株取引において非常に不公平になるので、法律はこれを禁止しているのです。

たとえば、有用な特許を用いて新製品を開発した上場会社があるとします。この新製品は売れること間違いないすばらしい製品です。発売されれば株価が上がるのは目に見えている。しかし、その発売時期などの細かい情報を知っているのは上層部のごくわずか。その情報を知っている人が、まだ公表されてない時期に株を買えば安く買えます。それを公表後高くなったときに売れば大もうけができるってわけです。

このような取引をインサイダー取引といいます。「証券取引法第166条」および「第167条」で、上場会社や店頭登録会社の社員や取引先等会社と関係のあるもの(会社関係者)が、その職務等に関して会社の業務等に関する重要事項を知った場合には、これが公表された後でなければ、その会社の株券等の売買等をおこなってはならない、とこれを禁止しているのです。