[712]発熱のメカニズム
発熱とは体温が異常に高くなった状態のことをいいます。臨床的には「発熱」と「うつ熱」の二つに分けられます。
発熱は、毒素や発熱因子・発熱物質によって体温調節中枢の機能が異常になった場合におこり、平常体温より1℃以上高くなった場合を言います。臨床的には、37℃以上に上昇した場合を言います。
うつ熱は、異常な暑さによって体温の放散が障害されたり、激しい運動などによって放散の限界以上に体熱が生産されることなどで体内の熱量が増して体温が上昇する場合を言います。
からだの痛みを過敏にしたり正常体温を上昇させるのは、体内のプロスタグランジンという物質の生成が関与しています。よく聞くイブプロフェンは、体内のプロスタグランジンができるのを抑え、痛み・発熱に効き目をあらわします。
ところが痛み止めは、痛みを止める悪玉プロスタグランジンを阻害すると同時に胃の粘膜を保護するほうの善玉プロスタグランジンをも阻害してしまいます。すなわち胃のなかでの胃酸分泌と胃粘膜保護のバランスがくずれて胃腸障害などが起こりやすくなります。
ですから消炎鎮痛剤(痛み止め)を服用するときには、胃粘膜の防御を高める薬が同時に処方される事が多いのです。
ところで、発熱の際にアイスノンしたり昔ながらの氷嚢で頭を冷やしたりしますがこれは医学的にはあまり効果はなく気分的なものとされています。
体温を下げるには、わきの下や首(内頚)・脚の付け根(大腿)などの太い動脈のあるところを氷嚢や氷枕で冷やすと、解熱効果あります。最近では脇の下熱さまシートなる商品も出てきました。
尚、解熱剤を使う場合は発汗作用を利用するので前もって水分を十分に取っておく事が大事です。