[693]ピーターラビットの故郷
絵本ピーターラビットの舞台は北イングランドの湖水地方。作者ビアトリクス・ポター(1866年生れ:女性)はロンドンの裕福な生まれですが、夏になるといつもスコットランドやイングランドの湖水地方で過ごしていたようです。
小さいころから絵を書くのが好きでウサギの話をたくさん書いていたポター。その話を実現したのがピーターラビットの話です。最初は自費出版をするもなかなか売れませんでしたが、あるとき有名な出版者の目に止まり、陽の目を見ることになります。
絵本作家として成功したポターは40代後半に湖水地方の村「二アソーリー」に住みそこで農業をしながら人生を送りました。湖のそばの森にはリスのナトキンやふくろうじいさまが住み、池のほとりにはカエルやアヒルが住み、ヒルトップ農場の野菜畑にやってくるウサギ達。ピーターラビットは実在のウサギでじつはビアトリクス・ポターが飼っていたウサギなのです。といってもそのピーターは絵本に登場していたピーターラビットにちなんで、後に飼ったウサギにピーターと命名したものなのですが。
ポターの作品の面白さは、動物も農家の周りの風景も事実を元にした正確な描写にあります。そして、人間の視点ではなく、動物達の視点から人と住まいと自然を描いている点がすばらしい。いかに動物たちを愛していたかをうかがい知ることができます。
これが日本だったらどうでしょう。農家では、サルや鹿が現れると退治することばかり考えます。野ねずみもモグラも害虫も大嫌い。熊なんぞ現れたらもう大騒ぎです。作った野菜に害を与えるものはみんな敵ということで、それらを愛情を持って観察する余裕がないといえましょう。
時代背景が違うので一概に比較はできないですが、動物たちをもっと知って、共存することの大切さを学す必要がある、と思います。
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