[568]ウスターソース
ソースには「ウスターソース」「中濃ソース」そして「とんかつ(濃厚)ソース」の3種類があります。これら種類分けはいい加減ではなくちゃんとJAS規格で決められています。例えばウスターソースはとろみが無くサラサラで味は辛口でなければならないのです。
ウスターソースは生まれ地であるイギリスのウースターに因んで名づけられた正統派のソースです。日本には江戸時代末期に渡来し、明治維新で洋食が広まるとともに本格的に利用されるようになりました。つまり洋食といえばウスターソースがつきものだったのです。
ところが日本人はどうも甘いのが好きなようで、洋食が盛んな割にはウスターソースは売れませんでした。そこで考えられたのが日本特有の濃厚ソース(とんかつソース)。甘味ととろみをつけた濃厚な味わいは大ヒット。ブルドッグソースやカゴメはこれで財を成しました。
そんなわけでとんかつソースや中濃ソースは日本特有のものですが、本家のウスターソースの起源はといいますとこれは諸説あるようですが、19世紀の中頃、ウースターの主婦が余った野菜や果物の切れ端を有効に使おうと、コショウや唐辛子を振りかけ、腐敗しないように食塩や酢を加えて保存しておいたものが何ヶ月か経ってのちみてみたら、野菜や果実が溶けて液状の「美味しいソース」になっていたというのが定説です。
ウースター市は人口およそ9万5千人の古く小さな都市。清教徒革命(17世紀中頃)の「ウースターの戦」では戦場になり、今でも史跡が残っているそうです。ロイヤルウースターという有名な磁器ととのも、このウスターソース発祥のリー&ペリンス社があります。高級レストランでソースを頼んでこのリー&ペリンス社のウスターソースが出てくれば本物。
リー&ペリンス社
http://www.lea-perrins.com/
【関連記事】
ブルゴーニュ通信局[008]郷土料理・かえる編