[507]警視庁特殊急襲部隊(SAT)
テロ組織に対抗するには専門の「対テロ組織」が必要です。たとえば日本国内でテロ事件が起きた時、事件解決に向けて登場するのは(SAT)でしょう。
SATは(Special Assault Team)の略で、正式には「警視庁特殊急襲部隊」といわれるものです。特殊警備隊の中でも「対テロ」対策の特殊部隊という位置付けです。部隊の目的は主にハイジャックや人質事件など。全員救助と犯人逮捕を両立させるという極めて難しい任務を与えられた部隊といえます。
SAT結成のきっかけとなった事件は1977年の日本赤軍によるダッカハイジャック事件で、その時の教訓を生かし警察のハイジャック対策用特殊部隊が創設されたのが始まり。年々凶悪化する事件に備え、1966年の予算編成でSATの予算は大幅に増額され、その結果今まで旧態依然としていた装備も最新の物に換えられています。このことからもSATは特殊機関として重要な位置にあることがわかります。
1チ-ム(小隊)の編成は約20名。24時間交代制で待機しており、いつ何時事件が発生しても出動できるよう勤務についています。小隊は3班に分かれそれぞれ任務があります。突入班=実際に機内に突入する。狙撃班=後方から狙撃支援する。支援班=機内に突入するための特殊梯子を操作、後方支援。など。
SATの隊員になるとその個人情報は警察の所属情報から抹消される。これは対テロリスト対策の一環で、SAT個人がテロリストから攻撃されないようにするための配慮。また、もし事件で犯人を射殺してしまったような場合、逆に狙撃者が告訴されないようにする配慮でもあります。
いずれにしてもSATが出動する時は重大な事件が発生した時。なるべくなら出動せずに済めばいいのですが、そうもいかないでしょう。NYのテロの教訓も生かされ大幅に強化されること必至です。
◇2000年5月3日「西鉄高速バス乗っ取り事件」
世間を震撼とさせたバスジャック事件はSATの活躍によりその幕を閉じた。残念ながら犠牲者が出てしまったが、SATの活躍に労をねぎらいたい。西鉄高速バス乗っ取り事件で大阪府警第二機動隊と福岡県警第一機動隊に所属するSATの隊員が広島県警に派遣される。小谷サービスエリア(SA)で広島県警は強行突入を行うがSAT隊員は広島県警の機動隊員や捜査員に対して技術支援を行う。(朝日新聞)
◇2007年5月3日「愛知県長久手町発砲立てこもり事件」でSAT隊員射殺さる
愛知県長久手町で4人が撃たれた発砲立てこもり事件で、18日未明負傷警官救出の際に銃撃戦に備え待機中に左鎖骨付近を撃たれた林一歩巡査部長(23)が病院で死亡。林巡査部長は県警機動隊・対テロ特殊部隊(SAT)の隊員で、1977年に設立されて初めてのSAT隊員の死に、大きな衝撃が走った。
林巡査部長は、最新式の防弾ヘルメットに防弾チョッキを身に着け、サブマシンガンを手に完全武装していたが、チョッキと首を防護するマフラーのわずか1センチほどのすき間に銃弾を受けた。凶弾はわずかなすき間から左の鎖骨に命中、体内で方向を変えて動脈を傷つけ、致命傷になったとみられる。(デイリースポーツ)2007.05.20加筆