[258]思想の自由と解任と免職

 

田母神(たもがみ)俊雄・前航空幕僚長の発表した論文が政府の見解と異なると、物議を醸しています。結果、田母神氏は更迭。防衛省としては免職(解雇)したいところですが、手続きに時間がかかるため退職扱いにしたとのこと。そして退職の際に支払われる退職金は自主返納を希望しているとのこと。
 
今回は、この田母神氏の退職について、考察したいと思います。
 
まず、政府見解との相違ですが、個人の主張としては、いろいろな意見を持ち、それを公表する権利が、憲法で保障されています。「憲法第21条の表現の自由」。したがって、田母神氏が個人的にどのような考えを持とうと自由です。
 
しかし、国家の組織である自衛隊の航空幕僚長という役職について、政府見解と異なる論文を発表することは、役職に対して不適切であるという判断の元、解任は当然のことになります。
 
この場合「役職」の「解任」です。
 
しかし、政府のとった処遇は、退職勧告しかも免職(解雇)に近いものです。これは、思想の自由、言論の自由を掲げた憲法違反であることは明らかです。処遇としては、降格、役なし、が適当です。免職(解雇)はNGです。田母神氏は、彼の言うとおり、退職金を自主返納する必要はないでしょう。
 
ただし、田母神氏はすでに定年を過ぎており、役職を解任すれば、自動的に定年が適用になる地位まで下がるため「退職」となったようですが。
 
今回の事件が正当化されれば、危険な思想を持った自衛官は免職もしくは退職勧告されることになってしまいます。自衛隊の組織を疑問に思っている血気盛んな現役自衛官はショックだったでしょうね。まさに恐怖政治ともいえるものですから。
 
終戦時の東京裁判や歴史認識については、ここでは述べませんが、田母神氏が告発する背景にある自衛隊という組織自体がすでに腐っているのかもしれません。一般人になれば言いたいことを言えるようになりますので、今後の田母神氏の活躍に期待したいと思います。
 
さて、幕僚長の後任には外薗(ほかぞの)健一朗・防衛省情報本部長を充てる人事を決定したようですが、仮に彼が同様の思想を持っていたとしてもそれは雇用に対してなんら影響はしないということです。解任と免職(解雇)は似て非なるもの。別個に考える必要があります。
 
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[257]読者Q&A『週6日労働?』

 

■読者からの質問
 
現在は週休2日制で土曜日と日曜日が休日となっております。
(祝日の有る日は土曜日出勤)
就業時間は8時45分より17時30分(12時?13時休憩)となっております。
(変則労働時間制)
 
この度会社側より土曜日の休日を19日間出勤日に変更したいとの提案がありました。理由は労働時間が週40時間に満たない分を出勤日としたいとのことです。
 
就業規則では会社の休日は日曜日、夏季、年末年始となっております。
ただ労働基準監督所へ届け出ている休日は実際の休日にそった週休2日制としたものを提出しております。
 
社員の多数はこの提案には反対です。しかし会社側が強引にこの提案を通そうとした場合の対抗手段は何かありますでしょうか?
 
■たまごやの回答
 
お便りありがとうございます。例によってアバウトに答えさせていただきます。
行動を起こす時には関係省庁の窓口にてご確認ください。
 
『週6日労働?』
 
たとえば一日の労働時間を8時間ではなく7時間30分にしたとします。
この場合週あたりの労働時間は7.5x5日で37.5時間になります。
週40時間に対して2.5時間足りません。
これを52週換算すると2.5時間x52週=130時間になります。
これを一日の労働時間7.5時間で割ると、17.33日になります。
この日にち分を休みではなく労働時間としたい。
大雑把に言えばこんな話でしょうか。
 
労働基準法では週当たりの休みを最低1日取るように指定しています。
従いまして、週6日働かせても本来は問題ありません。
ただし、週当たりの40時間労働時間の縛りもあるので、これを超えたなら割増賃金を支払う必要があります。
 
そこで、一日の労働時間を減らして、週40時間を越えないで、かつ週6日働かせるという知恵が働きます。一日の労働時間を6.5時間にすれば週39時間となり割増賃金も発生しません。今のところこれは違法ではありません。
 
ただし、会社としてはこれを就業規則に記載する必要があります。そして労働基準監督署にそれを提出する。そして就業規則を周知徹底する。当然然労使で十分に話し合うことが必要でしょう。
 
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[256]派遣社員という制度

 

秋葉原の無差別殺傷事件の容疑者は派遣社員だったといいます。そして職場の不満が原因のひとつとなって犯行に至った経緯が明らかにされつつあります。そもそも日本の派遣社員制度自体に軋みがあるように思えるのです。
 
派遣社員の本来の意味は、企業において『特に力を入れたいプロジェクトがあったとき、それを遂行するためには社内に人材がいないので、スキルのあるスペシャリストに臨時で社内に入ってもらいそのプロジェクトを達成する』その意味において派遣社員の価値が存在します。
 
したがって、そのスペシャリストは自立できるほどのスキルを持っているわけで、派遣先の社員より報酬が高いのが当たり前です。そしてプロジェクトが終わった際には契約終了。できる派遣社員は次の契約先へと向かいます。こういった派遣社員を正社員に迎えることはありません。なぜなら正社員で働くより派遣社員で働いていたほうが報酬が高いから。特に正社員として迎え入れる場合は役員クラスなどのポストが当たり前。それ以下はありえません。
 
しかし日本の派遣社員はどうでしょうか?
 
日本の派遣制度はパート・アルバイトよりは報酬は上、しかし正社員よりも報酬は下回るのが現実。これでは企業は正社員より安い報酬で使える派遣社員を使い捨て感覚で雇用しようとすることになります。だから、一定期間の後、派遣社員を正社員に迎えるように当局が指導する、という変な構造が生まれてしまうのです。これでは、派遣社員は単なる補充要員でしかありません。
 
そもそも派遣社員は正社員より報酬が高いのが正常です。それには派遣社員自体の質の問題もあります。正社員になれない人が派遣登録する、という現実もあり、ここに雇用問題の根の深さがあります。中間搾取を糾弾される派遣会社にも問題が山積みでしょう。というより、こういった低時給の派遣会社のビジネスモデルって将来は無いのではないでしょうか。
 
「派遣社員を雇用する場合は時給1万円を下回ってはならない」
 
たとえばこういった法律を作れば、正常化すると思いますが、果たしてこれだけのスキルのある人が日本に存在するかどうかも疑問です。派遣社員として需給がなければビジネスモデルとして難しい。もともと派遣制度はアメリカのもの。個人の能力が高く評価されるアメリカならばありえるでしょうが、組織を重んじる日本では派遣制度はビジネスモデルとしては難しいのではないでしょうか。
 
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[255]読者Q&A『昇格減給』

■読者からの質問
 
次長になって3年。3年間の累積ポイントで条件を満たし、部長に昇進。社長からは、現場のすべての権限をゆだねる。やりがいがある。君に任せる。でも給与はさがる。
そんなことあるのですか?基本給が3万アップ。家族手当て15,000円と住宅手当30,000円計45,000円がカットされ実質?15,000円となります。
責任は重くなる、給与は下がる。がんばれ!そんなことが通用するのでしょうか?部長を目指してがんばれといわんばかりの3年間の累積ポイント制は詐欺行為だとおもい訴訟を起こそうかと思っています。勝ち目はありますか?

■たまごやの回答

お便りありがとうございます。例によってアバウトに答えさせていただきます。
行動を起こす時には関係省庁の窓口にてご確認ください。

『昇格減給』

たとえば課長から部長に昇格すると実質給料が減ってしまう逆転現象を昇格減給といいます。
通常は、残業の付く平社員から、残業の付かない管理職になったばかりのときにこのような昇格減給はよく発生します。しかし、その後の役職手当などにより昇格減給状態は解消されるのが常で、これが解消されないとしたら「名ばかり管理職」として、会社の意図的かつ不合理なコスト削減策として糾弾されるべきものと思います。

・通常起こる昇格減給

平社員時代は基本給30万円に、残業代が恒常的に7万円付与されていた。課長に昇進したら、役職手当5万円が付いたが、残業代が付かず、結果減給に。
そしてお尋ね場合のように、
平社員時代は、家族手当、住宅手当が合わせて7万円付与されていた。課長に昇進したら、役職手当5万円は付いたが、家族手当、住宅手当てが付かなくたので結果減給に。

このようなことはよくあることで、昇格については業務命令のため拒否することができませんが、明らかに減給を目的とした昇格は、人事権の乱用ということで、裁判を起こすことは可能です。

しかし、今までの判例では、昇格時に逆転したからといって即人事権の乱用と判断されたことはありません。つまり法律は現状ではこのような状況を容認しているのです。したがって裁判を起こしても勝てる見込みは少ないですし、そのために消耗する労力・精神力を考えれば、このまま甘んじるほうが得策かもしれません。

また、本件の場合「基本給が上がった」ということですが、基本給が上がるということは賞与、退職金も上がるということです。会社としては、すべての算定のベースになる基本給はあまり上げず、諸手当で昇給をカバーすることが多いのです。万一降格になった場合でも、諸手当の場合はカットできますが、基本給を下げることはなかなか難しいのです。基本給が上がったということは歓迎すべきことと思います。

部長になったということで少し偉くなった分、会社の経営方針にも意見することができるようになると思いますので、このような昇格減給が起こることの弊害を社内で啓蒙し、会社全体を前進させるほうがいいと思います。「自分はいずれ社長になる。そのときは皆が働きやすいように、給料はがっちり支給する」というような意気込みで対処されたらいかがでしょうか。
 
ちなみに、昇格になった場合の手当てですが、従前の給料よりも上がるように役職手当を設定するのが普通です。しかし一般的な役職手当は部長クラスで7万円、課長クラスで5万円、係長2万円というのが相場なので、これを見る限管理職でない係長から、管理職の課長にはなりたくないという人が多いのはうなずけます。
これをリーズナブルに考えるならば、係長の役職手当は残業が付くので1万円程度。課長の役職手当は全行代が付かないので10万円、部長の役職手当ては15万円とすれば、皆がんばるのではないでしょうか。

[254]読者Q&A『問題上司のパワハラ』

■読者からの質問
 
有給休暇申請書を提出して、上司から戻されてしまって結局休暇を取れない友人がいるんですが、そういう場合、どうすればいいでしょうか。
友人は前年度の繰越分を加えていつも年間40日の有休が給付されていますが、ほとんど使えません。
また、友人の話を聞くと、会社で少しパワハラを受けていると感じます。
朝礼の時、みんなの前で、上司に「○○君(友人の名前)今度××に転勤することになりました」とウソの発表をされたり、飲み会の席もいろいろ嫌なことを言われたりして、本人はいつも我慢するか退職するかの間で悩んでいるそうです。
今の会社20年間くらい勤務してきたが、なにも悪いことしてないのに、ただ上司に嫌われて、我慢できなくなったら、最後退職するしかないでしょうか。
 
■たまごやの回答
 
お便りありがとうございます。例によってアバウトに答えさせていただきます。
行動を起こす時には関係省庁の窓口にてご確認ください。
 
『問題上司のパワハラ』
 
年次有給休暇をとらせてくれない、というご相談です。年休はご存知の通り、勤務日に充てることができる労働義務免除の強い権利を持つ休暇です。上司はよほどのことがない限りこれを拒否することはできません。唯一できるのは時季変更権のみ。つまり日にちをずらすようにすることのみです。しかしこれも正当かつ合理的な理由でなければなりません。
 
お尋ねの件ですが、年休の申請用紙があるということは、その用紙を使っている人がいるということで、年休を取ることに関しては会社は制度として認識しているものと思われます。
 
問題なのはそれを理解していない、あるいは理解していても許容していない上司にあると思います。つまりパワーハラスメント。他の人は年休を取れているのにあなただけ取れないというのは、問題上司のパワハラ以外の何者でもありません。
 
パワハラは黙って我慢をしていても解決はしません。それどころか増長することもあります。まずは口に出してその上司に抗議をしましょう。弱いものと思っていた人から思わぬ反発を受けて怯むかもしれません。大事なことはあなたが弱いものと見られないことです。
 
それでも解決しない場合は、社内の相談窓口や信用できる別の上司、問題上司を管理している上の上司、あるいは血気盛んな同僚に話をしてみましょう。一人で耐えていると精神的にも追いつめられてきてよくありません。社内で解決できないようなら労働基準監督署など外部の機関にご相談ください。
 
社内社外に関わらず相談する場合は、被害状況を客観的に証明できる様、いつ、どこで、誰から、どんなことを、どうして、どのようにパワハラを受けたか、を記録しておきます。証拠があると相談を受けたほうも対策しやすいのです
健闘を祈ります。