[248]名ばかり管理職

マクドナルドの店長が実体を伴わない「名ばかり管理職」であるとし、店長に残業代を命じた判決がありました。
日本マクドナルドが店長を管理職扱いにして残業代を認めないのは違法として、埼玉県内の直営店店長高野広志さん(46)が約1300万円の未払いの残業代と慰謝料などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は28日、直営店店長について「管理監督者には当たらない」と述べ、残業代など計約750万円の支払いを命じた。(2008年1月28日時事通信社)
そもそも管理職とは、会社の組織としては経営者側に立ち、経営者の代行として労働者を管理監督する立場にある人をいいます。管理職は経営者側ですから、会社の危機に瀕したときには身を賭して会社のために働きます。そのかわり労働者とは一線を画した報酬を得ることができるのです。
 
経営者に代わる権限と裁量を持ち、それなりの報酬を得るので、残業代を支払う必要はありません。残業というのは労働者側の考え方だからです。
 
しかし、経営者側としては、この残業代を払わなくていいという面のみを捉え、権限も裁量も与えないのに管理職にしてしまう。管理職にしてしまえば残業代を払わなくていいという理屈です。これを「名ばかり管理職」といいます。ひどい話になると入社一年で管理職にさせられているケースもあるとか。もちろん部下もいないし、権限や裁量など与えられているわけがありません。
 
労働基準法は、この実体をすでに知っていて、管理職と管理監督者と分けて考えています。労働基準法で「残業代を払わなくていい」のは「管理監督者」である場合のみです。役職が「管理職」であるかどうかはどうでもよく、実体が「管理監督者」であるかどうかの判断を求めているのです。
 
今回マクドナルドの店長がなぜこのような訴訟に踏み切ったのか?以前も述べましたが、外食産業の店長はその勤務状態の自由のなさから実体は管理職ではないのですが、文句も言わず管理職として働くのが常です。それは残業以上の給料をもらっていたからです。
 
今回の事件の背景には、賃金カットなどの処遇があったのではないでしょうか?
働いた分だけもらっていないと感じたら役職など関係なく訴訟に踏み切るでしょう。会社もアルバイト並みに働く店長にちゃんと見合うだけの給料を払えばよかったのです。
 
ちなみに、私が外食産業に身をおいていた2003年頃の相場。
 
デニーズ店長(40歳)年収750万円以上(24時間営業店舗)
サイゼリヤ店長(26歳)年収650万円以上(13時間営業店舗)
 
デニーズの店長はさすがに大変そうでした。社員4人で24時間営業ですから、臨時の休みが入ると24時間店にいることもざらです。それに比べ、システム化されているサイゼリヤの店長は格段に楽そうでした。一日勤務になっても夜24時には閉店ですから休むことができます。しかし両店長ともそれなりにもらっているので文句をこぼすことはありません(でした-過去形)。
 

[247]特別休暇は有給にすべき

就業規則をみると、年次有給休暇のほか「特別休暇」についての記述があると思います。慶弔休暇やリフレッシュ休暇、病気休暇などです。これらは法律で決められた休暇ではなく、会社が任意で決めることができる休暇で、別名「会社休暇」ともいわれます。
 
特別休暇は会社休暇ですから、その内容や有効期限、有給か無給か、などは会社が任意に決めることができます。もちろん特別休暇そのものを設定しなくてもかまいません。しかし、特別休暇を一旦設定したならば、それは就業規則に記載しなければなりません。これは就業規則の絶対的必要記載事項に「休暇について」が含まれるからです。(労基法89条1号)
 
記載については、対象者、付与要件、有給か無給か、出勤日に算入するかどうか、などを記載します。企業によっては、慶弔休暇の場合はお祝い・お見舞いの意味も含めて有給にする場合もありますが、ノーワークノーペイの原則より無給としても一向に差し支えありません。
 
ただし、休暇の意味を考えるならば特別休暇は有給にすべきでしょう。無給の特別休暇などうれしくもなんともありませんし、勤怠評価には影響しますが単に休むだけならばいつでも休めるからです。そしてもし有給休暇が残っていれば特別休暇などとらず、その有給休暇を充てることでしょう。
 
任意の会社休暇を有給にするということは、その会社の懐の深さを物語ります。「従業員を大事にしているんだな!」と。募集・採用での戦略面から考えても、特別休暇を有給にすることは企業にとってメリットがあるといえます。
 
ということで、就業規則に特別休暇の項目があるかどうか、そしてそれが有給か無給かいますぐチェック!?
 

[246]読者Q&A『年休の賃金』

■読者からの質問
 
有給休暇を取得した際、給与の計算はどのように行われるのでしょうか?
現在、恒常的に残業が月に80時間ほどありますので、毎日4時間程度残業していることになります。そういった状況で有給を取得した際、本来働くであったろう残業の4時間分もつくのでしょうか。それとも、基準労働時間である8時間分しかつかないのでしょうか。
極端な話、仮に有給で丸々一ヶ月休んだとしたら、前月と同じ労働時間分の給与がもらえるのでしょうか。なんとなく、8時間しかつかないのかなと考えていますが、働けば必ず残業になるので、有給をとったときだけ8時間となるのはちょっと納得がいかないです。
また、予め残業が指示されていた場合でも同じでしょうか。ご回答いただければ、ありがたいです。
 
■たまごやの回答
 
お便りありがとうございます。例によってアバウトに答えさせていただきます。
行動を起こす時には関係省庁の窓口にてご確認ください。
 
『年休の賃金』
 
年休の賃金については労働基準法39条の6項で定められています。
http://www.tamagoya.ne.jp/roudou/rouki4.htm#39
 
これによると、以下の3種類の賃金を認めています。
 
(1)平均賃金
(2)所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
(3)健康保険法に定める標準報酬日額に相当する金額(労使協定必要)
 
またこれらの賃金を採用するにあたっては「就業規則に定める」ようにも言及しています。
 
従いまして、お尋ねの場合ですが、まず就業規則に定めてある「年休の賃金」を確認しましょう。その定めてある方法によって、賃金が支払われる必要があります。
 
上記3種類の賃金のうち、金額が一番高いのは(1)です。平均賃金は過去三ヶ月に支払われた平均となり、それに残業が含まれていれば、それも平均されて加算されるからです。
 
(2)や(3)は所定もしくは標準となっており、残業などは含まれません。会社(使用者)からすれば、コスト節減のため(1)の平均賃金ではなく(2)もしくは(3)を採用する場合が多いです。おそらくお尋ねの場合もこの(2)を採用されているものと思われます。そして、これは違法ではありません。
 
もし就業規則に年休の賃金についての定めが無い場合は、労働基準法違反となり、罰則(六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金)の対象となります。
 
なお、平均賃金については労働基準12条で定義されています。
http://www.tamagoya.ne.jp/roudou/rouki1.htm#12
 

[245]健康診断中は労働時間か?

毎年1回は会社での健康診断があると思いますが、この健康診断は労働衛生安全法66条1項で会社に対して義務付けられているものです。健康診断の内容は一般健康診断です。
 
一般健康診断ですから最低限のライン。これで重大な疾患が見つかるとは思えませんので、自身の健康管理に気をつけるなら毎年一回は人間ドックを受診しましょう。人間ドックも会社勤めの人は政府管掌の補助が受けられますので、会社の総務などを通して申し込むといいと思います。
 
さて、この健康診断ですが会社によっては、職場まで検診バスがやってきて、会社で検診を受けることができたりします。医療機関の都合もあり、通常は昼間の勤務時間内に行われます。
 
会社には健康診断は義務付けられていますが、この検診中の時間は労働時間には含まれません。したがって、この時間に対する賃金は支払わなくてもいい事となります。休憩中や休日に検診を受けるように命令しても違法ではありません。ただし休憩中は自由に使う権利が労働者にはありますので拒否もできます。
 
しかし、この検診中の時間を把握するものは大変ですし、始まってすぐは大変混雑もします。したがってこれを労働時間から外すことなく、労働時間に含めてしまうことも多いでしょう。また労働者の健康は会社にとっても重要な事項であるので、会社負担とすることが望ましいことであることはいえると思います。
 
なお、健康診断でも有害業務の特殊健康診断は業務遂行に密接に関係するため、この検診の場合は労働時間に含めなければなりません。
 
一般健康検診は個人の健康のため⇒労働時間に含めない
特殊健康検診は仕事を遂行するのに必要なため⇒労働時間に含める
 
有害業務とは、じん肺(粉塵が発生する職場)、有機溶剤(シンナーなどを扱う塗装現場など)、鉛(鉛を扱う職場)、電離放射線(放射線を扱う職場)、特定化学物質(特定化学物質を扱う職場)、高気圧(気圧が高いところで作業する職場)などの環境での業務をいいます。

[244]休憩中の電話当番

労働基準法第34条では8時間を超える労働の場合は少なくとも1時間の休憩を与えなければならない、としています。
 
そのため使用者は昼休みなど1時間の休憩を労働者に与えるのが常となっています。しかしここで、顧客からの問い合わせなどに備えて、交代で電話当番を決め、その人が職場で休憩を取りつつ電話番をすることがあります。
 
《このような休憩中の電話番は休憩とはなりません》
 
このような交代での電話当番に「休憩とはならず」相応する時間については賃金の支払い義務が生じます。更に、これは「休憩時間ではない」ので別途改めて休憩時間もとらせる必要があります。
 
このようなかかってくるかもしれない電話に備えて待機する時間を「手待時間」といいます。手待時間は使用者の指揮命令から離脱して自由な利用を保障している休憩時間とは異なります。
 
また同じように、昼休み中の来客に備えて、交代でとる来客当番も同様に休憩時間とはなりません。
 
このような場合はどうしたらよいのか?
 
昼休み自体を交代でとるようにすればいいのです。たとえば、職場が空っぽにならないように労働者をA班B班に振り分け、A班は11:30から12:30まで、B班は12:30から13:30までとし、それぞれ休憩を取ります。
 
こうすれば職場には仕事中の労働者が誰かはいることになり、電話、来客ともに対応できるようになります。
 
ただし、この方法は「休憩の一斉付与」原則に反するため、労働組合もしくは労働者の過半数を代表する者との書面による協定が必要になります。