[243]レストラン店長は管理監督者か?

管理監督者は労働基準法第41条第2号で言及されているもので、労働者を管理監督する立場の人をいいます。自身の労働時間の管理は自主的に行うことができ、仮にタイムカードなどで管理されていたとしても給与計算上で便宜上行われていることが多いなど、自身の裁量で就業できるのが特徴です。
 
レストランチェーンの店長は、自身で労働者の募集もでき、かつそれらの給与額や労働時間の管理把握、そして労働時間のコントロールもできます。労働者を管理監督する立場であることから管理監督者のように見えます。店長は社内的にも管理職として位置づけられています。
 
しかし、これを管理監督者と認めない判例があります。
 
《レストランビュッフェ事件・大阪地判昭61.7.30・労判197.65》
 
「ファミリーレストランの店長について、コック等の従業員6?7名を統制し、ウエイターの採用にも一部関与し、材料の仕入れ、売上金の管理等をまかせられ、店長手当月額2?3万円を受けていたとしても、営業時間である午前11時から午後10時までは完全に拘束されて出退勤の自由はなく、仕事の内容はコック、ウエイター、レジ係、掃除等の全般に及んでおり、ウエイターの労働条件も最終的には会社で決定しているので、管理監督者にあたらない」
これは、肩書きや社内的ポストにかかわらず「実際がどうであるか」を元に判断された判例です。ポイントとしては仕事内容と拘束時間が最も重要なものとしてあげられるでしょう。自身がコック同様、ウェイター同様、そして人がいないときにはすべてをこなす必要があるのが店長です。急に人が休んだときには連続して勤務する場合もあります。そこに自由な裁量は入り込む隙はありません。ファミレスの店長は管理監督者ではないと判断され、会社には残業代支払いを命じられました。
 
ただし、実際のファミレスの店長はどうだといえば、管理職または管理監督者として従事していることも多いのです。なのになぜ文句を言わないのかというと、それらを残業としてカバーする以上の給料をもらっているからです。
 
労働者が訴訟を起こすのは、働いた分だけもらっていないと感じるから。役職など関係ありません。労使ともに円満の秘訣は「仕事に見合った分給料を払っているか?」、「給料に見合った分働いているか?」に尽きるのです。
 

[242]就業規則と労働契約

労働条件の不利益変更は合理的な理由が無いと認められないとされていますが、では労働条件はどこで決められるのでしょうか。
 
本来、労働条件は雇用契約書で個別に決定されるものです。臨時労働者や期間労働者、契約社員など有期雇用者には雇用契約書がありますから、この書面で労働条件が決まります。したがってこのような有期雇用者の場合は労働契約と就業規則で労働をコントロールされることとなります。
 
ところが正社員の場合は雇用契約書はありません。この場合は就業規則が雇用契約書に代わる書面となります。そして正社員は就業規則のみによって労働をコントロールされることとなります。
 
労働条件の不利益変更は認められないという場合の労働条件は、イコール就業規則に書かれている労働条件となります。だから就業規則を労働者の不利益になるように変えることはできないとされるのです。正社員のかたはもっと就業規則に敏感になりましょう。
 
有期雇用者の場合、雇用契約書と就業規則の内容が異なる場合はどうなるのか?
 
労働契約と就業規則の規定が違う場合は、就業規則が優先します。たとえば労働契約で一日の労働時間が6時間、就業規則で5時間と決められている場合は就業規則の5時間が労働条件となります。
 
ところで、労働条件を不利に変更してはいけないという法的根拠はどこにあるのでしょうか?労働基準法には不利益変更の禁止は謳っていません。
 
どうやらこれは最高裁の裁判例によるものらしいです。裁判例(最高裁判所判決平12.9.7 みちのく銀行事件)では、就業規則の不利益変更について、以下のように判断しています。
 
「就業規則の変更により労働者の既得の権利を奪い、労働条件を一方的に不利益に変更することは、原則として許されない。」
 
この判例では、同時に「合理的なものであれば不利益変更を認める」ということにも言及しています。
 

[241]兼業禁止を禁止する動き

労働基準法に代わる(補完する?)労働契約法が国会で審議されています。このたび与党の案に対し民主党の対案が提出されました。よく議論して時代に合った労働環境を作るべく努力してほしいと思います。
 
この「知って得する労働法」でも兼業(副業)については何度も言及していますが、もともと職業は自由であるにもかかわらず、労働者が就業する場合に企業は労働者の兼業(副業)を禁止していました。今回の労働契約法の審議では、この兼業(副業)を禁止することを禁止することが盛り込まれているところが注目されます。
 
というのも、兼業(副業)を禁止するのは本業に重大な影響を及ぼす惧れがある場合というのが本質であるにもかかわらず、「就業規則で禁止できるから禁止している」という現状に問題があるからです。裁判においても、兼業(副業)の実態にかかわらず、就業規則に違反しているかどうか、が問われているからです。
 
厚生労働省「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」中間取りまとめ
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/06/s0615-6a.html
【兼業禁止義務】
使用者は、労働者の兼業を禁止し、又は許可制にする等の制限をすることがあるが、このような制限は一般に就業規則で定められるため、裁判においては、労働者がこのような規定に違反したかどうかの判断に際して、就業規則の規定を限定解釈することによって処理されているとの指摘があった。
労働時間以外の時間をどのように利用するかは基本的には労働者の自由であり、労働者は職業選択の自由を有すること、近年、多様な働き方の一つとして兼業を行う労働者も増加していることにかんがみ、労働者の兼業を制限する就業規則の規定や個別の合意については、競業に当たる場合その他兼業を禁止することにやむを得ない事由がある場合を除き、無効とする方向で検討することが適当である。
就業規則に決めることができるということは、それに違反したら「違反」に決まっているわけで、裁判を起こされたら勝てるわけがありません。こういった「勘違い」を是正するために、就業規則での「兼業禁止を禁止」し、兼業を大筋で認めようとする動きは歓迎すべきでしょう。
 
労働契約法にこういった考え方を盛り込むのは、世の中の就業形態が大きく変わってきたからです。WEB2.0といわれるようにインターネットでは個人の力が大きく評価される時代となっています。ネットを駆使すれば、個人が主体となって起業することも可能であり、当然そこから収入を得ることができます。個人の収入元が通常の給料とは別にネットからも収入を得ることができるのが普通になる時代が来るかもしれません。「兼業禁止の禁止」規定はぜひとも実現させたい規定です。
 

[240]読者Q&A『ビル管理会社との雇用契約』

■読者からの質問
 
現在、ビルの管理会社の正社員の求人広告に応募し面接を受けています。勤務内容はビルの管理業務でその管理会社と契約しているいろいろなビルにするそうです。また三年を目処に勤務先ビルの異動があるそうです。
そして私はビル管理会社の正社員となるそうです。
これは一般に言う派遣社員のことですか?
派遣元と雇用契約を結ぶのが派遣社員ということですが、ここにいう「派遣元との雇用契約」とは一般にはどのような雇用契約なのでしょうか?
 
■たまごやの回答
 
お便りありがとうございます。例によってアバウトに答えさせていただきます。
行動を起こす時には関係省庁の窓口にてご確認ください。
 
『ビル管理会社との雇用契約』
 
ビルの管理会社との雇用契約についてご質問です。ビルの管理会社というのは顧客であるビルの所有者から依頼を受けて、管理業務を行う会社です。具体的にはビルの警備、清掃、設備のメンテナンスなどです。
 
派遣社員とは、登録した人材派遣会社から紹介された企業で一定期間働くことを指します。仕事の指示は派遣先企業から、給与は人材派遣会社から支払われます。給与は時給計算されるのが特徴です。
 
勤務地は各ビルの現場となりますので「現場へ派遣」されるので派遣社員のように見えますが、これは派遣社員ではありません。
 
また、3年間で異動があるとのことですが、その時点で派遣先企業に正社員雇用となるならば派遣契約であることもありますが、それは単なる勤務先の変更であると思われます。
 
ただし、面接を受けた会社がビル専門に清掃員・管理人を派遣する人材派遣業なのかもしれません。人材派遣業は構成労働大臣の許可が必要で、簡単には取得できません。おそらくあなたは単にビル管理会社の正社員として雇用されるのではないかと思います。
 
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[034]派遣社員

[239]サラリーマンも副業で節税

サラリーマンが勤める会社のそのほとんどが副業禁止になっていると思います。ためしに修業規則を確認してみてください。就業規則がない?そんなはずはありません。就業規則はいつでも簡単に見ることができるようにしておかなければならないことになっています。(労基法第106条、労基則第52条の2)
 
サラリーマンでもブログなどを運営してアフィリエイト収入を得ている人も多くなってきました。あるいはオークションなど不用品を販売できる場も簡単に利用できます。アマゾンでは買った本を読み終わったらマーケットプレイスで簡単に売ることができます。
 
こういった時代なのに、相変わらず副業禁止の姿勢をとっている会社が多いのですが、時代錯誤も甚だしいといえるでしょう。そもそも、勤務中は服務専念の義務がありますが、勤務時間外のことは何をしようと自由なのです。これは憲法でも保障されていることです。しかしそうはいっても会社の上司あるいはトップに言っても規則だから、あるいは理解できない、という障害があるのでここで精神力を削るのもバカバカしい。ということで、できうる限り内緒にしておくのが賢明です。
 
さて今日は「どうせ副業をするならば、節税をかねて是非とも申告義務が生じる年間20万円以上の収入を目指しましょう」という話です。
 
え?と思いましたか?
通常ならば、申告義務のない20万円以下にしようと思いますか?
 
いえいえ。副業で節税をするならば、是非とも20万円を超えるようにがんばってください。20万円を超えれば、申告義務が生じます。そしてこれは事業として認められます。事業として認められれば、その事業としてかかった必要経費は損金として認められます。
 
たとえば、有名なレストランに行って食事をした。サラリーマンの場合それだけでは、その食事代は経費にはなりません。しかし、そのレストランを紹介するようなブログを書いたとしたら、それはもう立派な取材費となります。そしてその食事代はブログによって得たアフィリエイト収入に対比する必要経費として損金となるわけです。
 
同様にして、旅行に出かけた際にも、名所旧跡を取材し、写真を添えて文章を書いてブログにすれば、旅行諸掛りはそこから得た収入に対する必要経費となり損金として落とすことができます。こうして、アフィリエイトで得た収入は、対応する取材費を計上することで間接的に節税対策になるということです。
 
ただし、注意点があります。税務署がこれを経費として認めるかどうかですが、簡単ではありません。それは税務署自体がまだアフィリエイトを理解していないからです。単なる不労所得としてしか認識していないところがあります(電話確認済み)。
 
サラリーマンは必要経費が認められていませんが、サラリーマンでも別途個人事業主にはなれます。個人事業主は事業を行うのが当たり前ですから、その部分では節税対策が可能となるのです。
 
(週刊節税美人加筆修正版)