〔36〕「罪」と「罰」

先日、バレンタインのチョコレートを買いに銀座三越まで行ってきました。休日の銀座はものすごい人ごみ!そんな中でお目当ての“satie”の生チョコをやっと買うことができました。なんと今年は(開けてからのお楽しみということですが)ダイアモンドが入ってる箱がある、とのこと。本命チョコの中に入ってたら本当、運命を感じちゃうかもしれませんね。

「辞めたい」と思うことがある。“思うことがある”というより、私にとってのそれは寝たり、食べたり、遊んだり、という生活の一部と同じようなものだ。よくよく考えてみれば日々当たり前のように「辞めたいなー」と感じながら嫌々会社に通っているような気がする。

時にそれは表面化し、「次の契約で終了させてもらおうかな」などと具体的に考えたりするが、今までなかなかその言葉が言い出せなかった。というのも、今派遣業界は非常に厳しい風に吹かれている。時給もどんどん下がり、自分に合った仕事を見付けるのすらままならない。

手に職も持たず、いつのまにかミソジを過ぎてしまったこのぐうたらな私が、他の企業へ行き、またバリバリ仕事をこなすことができるだろうか。そんな不安が先に立ち、結局私は「辞めたい」気持ちを自分の中で満タンにすることができず、すでに今の会社で2年が経過してしまったというわけだ。

我ながら情けないな、と思うが、まともな友人に「この不景気に現場の上司から“ずっといてくれ”なんて言われる派遣さんなんていないわよ。少しはありがたいと思って、いれるうちはいた方がいいのよ、いりゃあ金だって入ってくるんだしさー」などと言われてると、あながち“情けないこと”とも言いきれない。

しかし、ここにきて(これは前号から少し引きづるが)そうも言ってられない状況になってきた。4月からの組織編成に伴う波が徐々に私にも襲いかかってきているのだ。

他の人が忙しかろうが、困っていようが、「私は派遣であって、この会社の社員ではないのだから、かわいそうだけど手を差し出すだけ余計な仕事が増えて損をする」と考え、絶ち切ってきた私だが、最近は今まで知らん振りを決めこんできた仕事をやらざるを得ない状況に追いこまれつつある。

つまり、“他にやる人”がいないのだ。

「山口さん、4月からはこの仕事もやっていただいていいですか?」

そんなこと言われたって、ハッキリ言って私は今抱えてる仕事だけで、いっぱいいっぱいなんだよ。それ以外をやらせる必要性を感じたら、臨時で別の人でも雇ってくれないかな。

そう言いたい気持ちを抑え、私はそれに無言で応じてしまっている。

「山口さん、」と苗字を呼ばれる度に、「辞めたい」という気持ちが一層強くなっている。

でももし今「辞めさせてください」などと言おうものなら、下手をすればみんなからヒンシュクを買うだろう、もしくはうまいこと言いくるめられて辞めさせてもらえないかもしれない。

ここ数年、身の振り方も考えず「自分で決められな~い。誰か決めて~」なんてほざいていた私は、ついにブラックホールに落ちたのだ。うだうだ悩んでいたのは最大の「罪」であり、会社というブラックホールに落ちたのは、その「罰」なのかもしれないな。

2002.02.15