[87]日常の買い物・食べ物

2019年3月21日

第87回
■日常の買い物・食べ物
此のお話は昭和12年頃のお話です。
家の周辺は住宅ばかりでしたが、家の前の道路を駅と反対方向に100mくらい歩くと左に曲がるT字路があってそのT字路の所に「河内屋」と云うお菓子屋がありました。その先には駄菓子屋もありましたが、お菓子屋で買う物は少しは高級と云った感じです。例えば「せんべい」にしたって種類が沢山ありました。
子供の僕たちは一番安いもので10銭で10枚とか20枚とかの物しか買えません。だけど「ソースせんべい」と云う、せんべいにソースを塗ったものですが、白い生地にソースの赤いまだら模様になったもので、1枚2銭位しましたが、これが美味かったのです。その他は甘いものですが、「芋ようかん」が三角に切ったものが1銭くらいで、「蒸しようかんは」1本5銭くらいで買えました。「大福」は6個10銭でした。
此の「河内屋」の店の角にパチンコ台が1台ありました。パチンコと云っても1銭入れると玉が1個出て来て、それをレバーで弾くのですが、色々な仕組みがあって上から玉が流れて来るのです。シーソーがあったり、玉を順番に低い筒の上を移動させたり、ゴールには大抵行きません。1回1銭でおしまいです。此のお菓子屋も昭和16年にはケースも空が多くなり、売るものも無くなって来ました。
此の「河内屋」の向かいに「八百屋」がありました。何て云う名だったか思い出せませんが、野菜は豊富でした。何しろ此の当時の食生活は野菜が主だったのですからね。
昭和14,5年くらいまでは野菜には苦労はしませんでした。何しろその頃の日本は農業国だったからですね。サツマイモとか玉葱とか里芋とか米などは田舎から送ってくれて居ましたから買う物と云えば、白菜や小松菜,ほうれん草や芋がら、ふき等の葉物が殆どです。
ですけど今と違って葉物は虫食いが多かったです。ですから月に一度は腹の中を掃除しなければなりませんので、学校で「虫下し」の薬をくれました。でも虫は「回虫」ばかりではなく「蟯虫」「真田虫」など虫下しでは取れない虫も多かった様です。
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えびまるくん
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