[89]七分搗き
第89回
■七分搗き
おかずには「肉類」は殆ど出ませんでした。たまに「みそ汁」に一寸入っている程度で、買ったことも食べたことも殆どありませんでした。そして料理のダシは「鰹節」が主で、煮干しが次です。昆布は使って居ませんでした。鰹節をカンナで削る役はいつも私です。これ意外と大変なんです。鰹節が大きいときは未だ良いのですが、小さくなって来たものは、うっかりすると手を削ってしまうような状態になるからです。
だけど母は「糠味噌(ぬかみそ)」だけは子供達には触らせませんでした。それは良かったです。あんなに臭い物はごめんでしたが、漬け物は答えられないくらい美味かったです。明治生まれの母は漬け物は上手でした。毎日ぬか床の手入れをしていました。キュウリ、茄子、大根、茗荷などは抜群でした。もうこうした物を口に出来ないのは悲しいですね。
田舎は千葉県の九十九里浜に近かったせいで、この頃は九十九里浜は「鰯(いわし)」の大量の時代でした。ですから小さな「鰯」を1ガロン缶に入れて、生のママで送ってくるのです。うちへ着いたら、庭先にゴザを敷いて、「鰯」の目玉に藁で通して5本位繋げるんです。全部終わったらこれを筵(むしろ)に並べて天日干しするんです。此の出来た「目刺し」が又美味いんです。
秋になると田舎からお米を1俵と渋柿を送って来ます。田舎から送ってくれる物は手が掛かる物が多いので、子供達は大変です。
お米なんかは籾殻(もみがら)を取っただけのものですから、精米してないんです。これを精々七分搗(つ)き位にしないと、玄米のママ食べることになっていまうので、これを搗くのが子供の役目です。
まず1升瓶を物置から探して来て、良く洗って乾かします。そして其の瓶に半分くらい米を入れます。そして直径12.3mm位の木の棒を作って、これを瓶の口から入れて、中の米を搗くんです。ずいぶん時間が掛かりますが、出来るだけ白くなるまで搗くんです。でも七分搗き位が栄養は良いようですよ。白米よりは・・・。
柿は「干し柿」でも「吊るし柿」でも良いのですが、皮を剥くのが大変なんです。小型の包丁で剥くのですからこれはイヤにんーなりますね。ですけどこれは腐る物ですから何しろちゃんとやらなくては成りません。全部剥き終わったら細い荒縄を通して、軒先に吊します。相当時間が掛かりますが、白い粉が吹いてきたら、そろそろ出来上がりです。
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