[126]四家文子(よつやふみこ)

2019年3月21日

第126回
■四家文子(よつやふみこ)
彼女は1906年(明治39年)1月20日に東京下谷の根岸で生まれました。本名は横田ふみ子と云います。東京音楽学校を卒業して、昭和4年に歌舞伎座で上演した創作オペラ山田耕筰の「堕ちたる天女」でデビュー、その後にビクターの歌手として、数々のヒット曲を世に送り出しました。
昭和6年には「わたしこの頃変なのよ」を発表し、昭和7年には前にも書きましたが坂田山心中の「天国に結ぶ恋」そして同年「銀座の柳」を歌いました。
「銀座の柳」
 

 ♪ 植えてうれしい 銀座の柳
    江戸の名残の うすみどり
    吹けよ春風 紅傘日傘
    今日もくるくる 人通り ♪

此の歌は#3まであります。
昭和12年にはビクター専属のスター歌手でしたが、東洋音楽学校の講師としても活躍し、昭和22年には日本で最初の全曲日本語訳のオペラ「カルメン」を東京日比谷公会堂で大熱演し、翌年には此の舞台の成功によって文部大臣賞を受賞しました。
こうして彼女は流行歌の先達としてだけではなく、声楽家としても数多くの名舞台を飾りました。昭和32年1月には、東京ヤマハホールで、創作声楽曲「子守唄」を独唱しました。このように戦後は東京女高師や国立音大の教授の後に芸大の声楽部講師などを務めていました。しかし昭和56年(1981年)7月16日に「胃ガン」の為に亡くなりました。享年75歳でした。