[149]昭和の歌「長崎物語」他

2019年3月21日

第149回
■昭和の歌「長崎物語」他
  『長崎物語』唄・由利あけみ・・昭和14年

♪ 赤い花なら 曼珠沙華
阿蘭陀屋敷に 雨が降る
濡れて泣いている ジャガタラお春
未練な出船の ああ鐘が鳴る
ララ 鐘が鳴る         ♪

此の歌は#3までありますが、唄は聞いたことがありますが、あまり良く知りません。僅かな情報を辿ったところ。当時は大分活躍した歌手らしいです。出身は広島県で、大正2年の生まれと云います。東京音楽学校を卒業し、女学校の教師から歌手に転向したと云います。
そして昭和11年にレコードデビューに吹き込んだ「熱海ブルース」がヒットし、続いて発売した此の「長崎物語」もヒットしました。昭和14年にはオペラの主役もつとめたと云います。又映画にも出演し、東宝映画のコミカルな、岸井明、藤原鎌足の出演した「牛づれ超特急」に共演していると云います。もし、現在も健在であれば、94歳になられる筈ですが・・・・。
此処で少し方針を転換して、「お座敷歌手」と云われた艶と粋な「芸者」上がりの歌手を書きたいと思います。
  『ほんとにそうなら』唄・赤坂小梅・・昭和8年

  ♪ たとえ火の雨 槍の雨
    月が四角に 照ったとて
    好いて好かれて 紅紐の
    解けぬ二人は 縁結
    ほんとにそうなら うれしいね ♪

此の歌は#3までありますが、子供の私達には何のことか分かりませんが、大人の人達には良かったのかも知れませんね。
「赤坂小梅」は明治39年4月20日福岡県田川郡川崎町で九人兄弟の末娘で生まれました。本名は向山コウメと云います。16歳で芸者となり、昭和4年野口雨情らの紹介でビクターから「小倉節」を発売したと云います。以来、流行歌、端唄、舞踊小唄、民謡などを次々に吹き込み、中でも「黒田節」は最大のヒットとなりました。♪酒は飲め飲め飲むならば♪・・なんて云う民謡は私らでも知っていますものね。昭和11年に結婚して長男が生まれましたが、昭和13年に夫と死別してしまいました。
昭和49年に紫綬褒章、昭和55年には勲四等宝冠章を授章しました。昭和56年4月に引退したそうです。引退後は千葉県館山市布良の安房自然村に引っ越し、「小梅民謡教室」を開いて悠々とした生活を送っていましたが、平成4年1月17日午後7時24分に心不全のために鴨川市の病院で、芸能生活60年、歌手生活50年の幕を下ろしました。享年85歳でした。