ストーカー被害に遭い、ネットでの得体の知れない奴との出逢いに懲りた私にかかってきたオーネットスタッフからの勧誘電話。ちょうど仕事がはかどっておらず、やる気がないモードだったので、すぐにオーネットの門を叩く。といっても門などは無く、とあるオフィスビルのワンフロアだった。
オフィスは、囲い込むタイプのパーテーションで仕切られたブース(商談スペース)がいくつかあり、他のブースは意識してのぞき込むなりしなければ見えないように配慮されている。密談?!という言葉が脳裏をよぎり、何となく、後ろめたい気持ちを浮き彫りにする空間だ。割と大胆不敵な性格だと思っていた私でさえ、はやり微かな羞恥心のようなものを感じる。
私を担当したスタッフは私より年かさと思われる女性で、宝石や絵画を売りつけようとするお姉さんとは明らかに対応が違っていた。ありがちな奇妙な明るさもなく、別に押しつけるわけでもなく、過剰なお世辞を言うわけでもなく、かと言って全く事務的でもない。考えてみれば、ここへ来る人は「結婚したい、恋人がほしい」という切実な目的を持っているわけだから、過剰な演出は不要なのだろう。患者が病院へ行くようなものだ。不幸な人に壺を売るようなものかも知れない。そう、宗教にもちょっと似ている。
オーネットに入会したからといって幸せな結婚ができると思うほど私は単純でも純粋でもないつもりだが、何も(入会)しなければ、また今日までの暮らしが繰り返されるだけ。という、予備思考があったから、私の場合はカウンセリングに行く時点であらかた入会を決めていたように思う。で、次回からオーネットのシステム内容について説明したい。
本城愛子
カテゴリー: オーネットの真実-結婚情報サービス体験記- -本城愛子-
シングルマザーが再婚を目指し結婚情報サービスに入会。一体どんな出逢いが待ち受けているのか?果たして再婚にこぎつくことができるのか?
恋愛・結婚市場の動向を検証しつつ、独身女性の本音と生態を描くエッセイ。
[06]出会い系でストーカー被害。
なかなかオーネットの話に行き着かないが、オーネットでの活動が活性化してきたので、足早に説明すると、「ノッツェ」が運営する見合いサイトでは、私自身の写真(自称美人)を公開することで、いきなり申込者の年齢層が若くなり、ルックスもスペックもそれなりの男性からの申し込みが急増する。
しかし、まるでおもしろくもない男たちばかりと遅々としたメールでのやりとりにうんざりした私は戦略を変え、もっと軽いサイトの方がいいのではないかと判断。何となく、もっと一般的な人が登録している気配を感じる、エキサイトの恋愛・結婚サイトに登録したのだ。
ところが、ここで出逢った男性にストーカー行為に遭ってしまう。これまでと違ってノリがいいと思い、実際に会い、意気投合したものの、何度か会ううちに、あまりにも下流な生態に驚き、絶縁するも、メールや電話はもとより、家に押しかけてくるなど、半端でない下流ぶり。警察に相談して何とか事なきを得たものの、世の中には色々な人がいるもんだ、と反省。男性不信に陥った私は、このまま母子ふたりで生きていこうと思い改めたのだ。
ストーカー被害も収まった頃、オーネットのスタッフからカウンセリングに来てみないかとの電話をもらう。以前、暇つぶしにネットの恋愛診断に回答した後、すでにDVDなどの資料が送られてきており、見込み客として登録されていたのだろう。一度目に電話をいただいた時は、男に懲りていたし、仕事が忙しいこともあり、そのうちに伺いますと言葉を濁した。
そして数ヶ月後、再び、オーネットから電話をいただいたのだ。何かとほとぼりは冷めていたものの、恋人や夫がいない生活も慣れてくればまんざらでもなく、母子ふたりの平穏な生活が定着していた頃だ。その一方で、このままで慣れてしまっていいのかと思う漠然とした疑問もあった。微妙な中年の乙女心?!を揺さぶられたと言えよう。
本城愛子