[093]国際結婚から国際離婚の時代へ

 テレビで日本女性がアメリカ人の結婚相手を探すためにニューヨークへお見合いツアーに行くというニュースを偶然目にしました。そういう斡旋業者というかコーディネーターがいるのです。インターネットで検索をするとなんと国際結婚に関するサイトが山のようにあります。もちろん多くは中国人やフィリピン人のお嫁さんを紹介します、というものです。
 手元にあるのが 4年前の統計ですが、日本における国際結婚の比率は総婚姻数の5%に届こうとしています。つまり20組に 1組は国際結婚ということになります。何と東京では10組に 1組とまでさえ言われています。 8割弱が日本男性と外国人女性のカップルで、相手の国を見てみると、地理的に近く在日の方も多い韓国朝鮮や中国が多いのはうなずけますが、それを除くと外国人妻はフィリピンが圧倒的に多く、外国人夫は圧倒的に米国人が多くなります。原因として考えられるのが男性は下方婚、女性は上方婚という考え方が国際化時代になっても変わらないこと、もちろん日本の社会習慣から来るものもありますが本人たちの考えも変わっていないという証左ではないでしょうか。下方婚というのは、学歴、収入、身長などが自分より下の相手を結婚相手として望むということで、上方婚とはその逆をさします。


 収入別の統計を見れば歴然で、年収の低い男性は未婚率が高く、年収の高い女性は未婚率が高いという結果が出ています。日本人男性で年収が低いとはいえ途上国から見ればかなりの高収入でまた文化的な生活が可能となるため日本人と結婚したがる途上国の女性はたくさんいます。日本人男性から見ても途上国から来る女性のほうが謙虚で質素で忍耐強く、コントロールしやすく思えるのでしょう。台湾ははるかに国際結婚が多い国ですが、やはり台湾男性の外国人妻はフィリピン人やインドネシア人が多く、台湾女性の外国人夫は米国人や日本人という数字が出ていますので男性、女性それぞれの結婚相手に望む条件は普遍的な要素があるとも言えます。
 女性の社会進出に伴い、女性の高学歴化や高収入化は進みます。企業の支払う人件費はそれに伴い増加はしないため、男性の中には過去なら得られたはずの高収入をもらえなくなる層も出てきます。そうするとますます希望する結婚相手のミスマッチ現象がおきます。調整弁として働いているのは年下夫と年上妻カップルの増加、そして国際結婚です。日本人妻と外国人夫のカップルの場合は夫の祖国で暮らすケースのほうが多いでしょうし、その場合は生まれた子どもも必然的に外国籍となってしまうでしょう。国際結婚の増加は年金問題にもつながるかも知れません。
 気になる離婚率のほうですが、こちらも国際結婚のカップルは日本人どうしの離婚総数の約5%程度で、国際結婚と離婚は直接関係ないものの、総数としては増加していくことでしょう。私の周囲にはキャリアウーマンで国際結婚をしている人が少なからずいますが、一様に「自分の仕事に理解があり、家事・育児に協力的、人間として対等に高めあえる」と外国人夫を高く評価しています。最近、 2-3人から異口同音に聞いたのは「親が病気になったり、片親だけになってしまった場合は不安。それを考えると国際結婚をしなければ良かったと思うこともある。」とのことです。ここにも少子高齢化社会の問題が見え隠れします。
河口容子
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