[136]中国ミッションのラッシュ

 愛知万博の視察もかねて、中国からのミッションが次々と来日しています。省、市(中国には上海のように特別市といって省に属さない市もありますが)、区と行政レベルもまちまちで、月に2回は投資セミナーと商談会、懇親会というようなものが東京の一流ホテルで競うように開かれています。ちまたでは反日運動のニュースが踊っていても、いつもセミナーは大入り満員。商談会や懇親会では異業種交流会のごとく名刺交換があちこちで行なわれています。こんな光景は、反日運動の情報に神経をとがらせている在中国の日本人ビジネスマンや中国ビジネスと無縁の方にはちょっと驚かれるのではないかと思います。
 先日は天津市と広州市のミッションがやって来ました。中国では 5千年を見るなら西安、1千年を見るなら北京、 100年を見るなら天津と言うらしく、天津は北京から 120kmの近代史における商都、そして環渤海経済圏の中心でお隣の山東省、遼寧省を合わせると 2億人以上の市場となります。一方、広州市は世界の工場、珠江デルタの広東省の省都、香港とマカオに隣接する中国の「南大門」です。
 最近はこうした商談会を通して、大手企業の CEOクラスの方々とお話をさせていただく機会がふえましたが、何千人、何万人規模の企業の特にハイテク系製造業の CEOとなると考え方も欧米企業とほとんど変らない気がします。英語が驚くほどお上手な方もふえています。
 ひと昔前までは、日本人と中国人は髪型や服装だけですぐ見分けられたものですが、最近は黙っている限りまったく見分けがつきません。会場である男性が私に中国語で話しかけて来ました。私はその方を中国人だと思い、「私は日本人です。」と中国語で言いました。するとその方も「私も日本人です。」と中国でおっしゃり、その後日本語で話し出したという按配です。あちらは私を中国人と思いこんでいたようです。
 このふたつの市のみならず、いつも海外のセミナーで感心するのはきちんと資料ができているということです。手提げ袋にいっぱい資料、最近は書類のみならず DVDがつまっています。時々重くて這うように会場を歩かざるを得ないこともありますが、コストもさることながら準備の時間なども考えると、たいしたものだと思います。
 今回、広州市はお茶にお茶碗、お菓子をわざわざ持って来てもてなすという試みをしました。おまけにお茶碗はお持ち帰り用の布を張ったギフトボックス付です。白地に黄色の縁取りでピンクの牡丹の絵が描いてあり、茶托として使う小さなお皿と小ぶりの蓋付のお茶碗です。女性の参加者に大人気でした。
 日中関係は長い歴史があるだけに、人間と同じく仲のいいときも悪いときもあったでしょう。しかしながら、今や世界が注目するお隣さん同士であり、不仲はお互いのマイナスとなります。衣食足って礼節を知ると言いますが、お互い大人のスマートなおつきあいが続くことを願ってやみません。
河口容子