[201]ジャパニーズ・ウイメン

私がビジネスをしている中国から東南アジアの国々で「日本食」は一種のステータス・シンボルです。「日本食を食べたことがある」というレベルから始まって「日本食が好き」や地元にひいきのお店を持つレベルまでいろいろです。今はニュージーランドに住んでいる友人の華人系インドネシア人 B氏は毎日家庭でも味噌汁を飲んでいるほど日本食ファン。彼がジャカルタに住んでいた頃はよくお味噌や日本茶をお土産に持って行ったものです。「どうしてそんなに日本食が好きになったの?」と聞くと「あなたに会ってから」と嘘か本当かわかりませんが私を喜ばせてくれます。
日本食だけならそこそこお金があれば誰でもトライはできますが、アジアのお金持ちの次なるステータスは日本に拠点を持つこと。名刺やインターネットのホームページに拠点をずらりと並べたところで日本が入っているのとないのとでは格が違うようです。ところが、日本は物価も人件費も高い上にそれに見合うビジネスがアジア企業にとって構築できるかというとなかなか難しいものがあります。その辺もお金持ちのステータスであるゆえんでしょう。
シンガポールのビジネスパートナーは最近アジアのマーケティング調査に関する新しいホームページを欧米向けに立ち上げ、私もそこにコラムを執筆しています。英文で連載するのは初めてです。いろいろ考えた末、「ジャパニーズ・ウイメン」というタイトルで日本女性による日本女性の消費行動を分析する内容にしたところ、「ガイジンは皆日本女性が大好き、だから素晴らしい企画」とおほめをいただき、ピンと来たのはアジア人にとって究極のステータス・シンボルは日本女性であるということです。単なる美人や高学歴で仕事のできる女性はアジアには掃いて捨てるほどいます。日本女性が彼らの永遠のあこがれであり続けるのは、2003年2月21日号でふれた「文化的であること」以外に私は思いあたりません。
そういえば、上述のB氏は「日本女性をガールフレンドに持つのが一生の夢であった」と白状しましたが、どこに行っても女性に大人気の彼が私をお姫様のようにエスコートしてくれるのも、真の日本人ガールフレンドを探すまでの予行演習かも知れません。
香港のビジネスパートナーの兄のほうも私の自慢話をするらしく、香港人のビジネスマンが仕事でどっと押し寄せて来ます。彼としては「広告効果大」でしょうが、会ってがっかりさせないよう努力をする側のことも少しは考えてほしいものです。弟のほうはよく「男の子みたい」と私のことをからかいますが、やはりエスコートの達人である日、香港の水たまりをハイヒールでまたごうとした私の腕をそっと支えてくれました。彼はぴかぴかに磨いた靴で水たまりの中に立ったままです。同行の香港人の女性秘書がたまらず走って逃げたくらいでめったにない光景だったのでしょう。弁護士であり、上場企業の買収もしてしまう投資家がこのような事をしてみたくなるのも私が日本女性であるおかげのようです。
きちんと仕事をしている限り、日本女性であることは国際ビジネスの場ではかなり得をします。また、海外の男性のほうが女性と一緒に仕事をするのに慣れているせいかこちらも気楽な面もあります。アジア諸国で「日本」という言葉に戦争の名残を感じる人もいるかも知れませんが「女性」は平和なイメージを与えます。ありがたいと感じる反面、傲慢になったり、甘えてはいけないと強く思います。また、海外でだらしない格好で歩いたり、無作法な日本女性に対する彼らの目は日本人以上に厳しいということは忘れてはいけません。
最近、日本の化粧品会社のヘアケア製品のコマーシャルが好感度NO.1を維持していますが、さまざまな個性を持つ日本女性たちの生き生きとした姿が実に印象的です。
河口容子