ブルネイというと、石油が出るお金持ちの王様(サルタン)の国で有名ですがどこにあるかご存知ですか?赤道をはさんだ大きな島ボルネオ島の北の方にあり、三重県くらいの広さの小国です。ちなみにボルネオ島の北側はマレーシア領、南側はインドネシア領でカリマンタンと呼ばれています。この国で産出される鉱物性資源(石油、天然ガス)の実に99.9%は日本に輸出されており、私たちの日々の生活を支えてくれています。人口は約33万人。人口ひとりあたりの統計数字からはアジアで日本に次ぐお金持ちということです。
私は以前から一度ブルネイに行ってみたいという気持ちがありました。石油のおかげで個人所得税も払わなくていい、他に大きな産業もなく、当然大きな消費市場もない国で平均月収が20万円というのはどんな暮らしぶりなのか、日本の社会構造とはまったく違う世界がそこにあるに違いないと思ったからです。シンガポールで乗換え、ブルネイ航空を予約したもののその便は急遽キャンセル、その日のブルネイ航空最終便に押し込まれ主都バンダル・スリ・ブガワンの空港に着いたのは夜中の11時半であたりは闇に包まれていました。暗闇に目を凝らして見ると景色はどうやらマレーシアに似ています。
翌朝はみごとなほどの快晴。とんでもなく暑くなりそうです。来る前の情報では、「人が少ない」「のんびりしている」「物価が日本とほぼ同じ」。確かにインドネシアに比べれば、首都というのに人は少なく、どこもかしこも新しく、ぴかぴか磨きあげられた感じです。ごみごみした日本に住み慣れた目からは「生活感がない」の一語に尽きます。ホテルのロビーには政府機関の女性 3人がずらりと民族服で並んで待っていてくれました。日本の政府機関の職員が和服で仕事をしているようなものですから、お国柄とはいえ、単純な不思議を覚えます。
街の中の看板はマレー語、英語、アラビア語で表記されています。中国系の人も多いため漢字の看板もあり、ありとあらゆる文字がにぎやかに目に飛びこんできます。政府機関の女性に聞いたところ、アラビア語は読めるが話せない、とのことでしたので、おそらくお祈りはすべてアラビア語なのでしょう。来たときの飛行機の中でも離陸前に旅のお祈りというのが、機内にいきなり流れ出したのですが、アラビア語の音声にマレー語と英語の字幕スーパーがついていました。
[039]バサバシと階級社会
インドネシアとブルネイの出張から無事帰って来ました。留守中、たくさんのお便りを読者の方からいただきました。普段ならおひとりずつお礼のメールを書くのですが、今回は失礼させていただきます。ここでお詫びを兼ねお礼を申し上げておきます。
さて、インドネシアというと赤道をはさんだたくさんの島からなる国というのは皆様よくご存知だと思いますが、人口は 2億人を超え、面積は日本の約 5倍というと結構びっくりされる方もあるでしょう。また、イスラム教国と思われていますが、確かに太宗はイスラム教徒ですが、宗教は自由でクリスマスもちゃんと休日になります。世界のリゾート、バリ島はヒンズー文化ですし、世界遺産のボロブドゥールは世界最大の仏教建築であることからも多様な文化が混在していることがわかります。
今回の私の出張は国際機関のお仕事で、現地での相手はインドネシアの政府機関です。つまり、私はインドネシアのお役人にアテンドされるわけです。インドネシアは大官僚国家です。民間企業でもそうですが、人口が多く、それも都市集中型であるがゆえに、実に整然とした階級社会になっています。たとえば、政府機関に行けば態度だけで上下関係がはっきりわかります。ホテルに私を迎えに来てくれるのはだいたい下級管理職ですが、遅れることはあり得ません。遅れたと私が彼あるいは彼女の上司に一言言えば大変なことになるからです。ですから、最大のほめ言葉は本人に言うのではなく、上司に言ってあげることにしています。
これは民間企業においてもそうです。友人たちが経営している会社の運転手さんたちにはよくお世話になりますし、顔も知っていますが、彼らが直接私に話しかけたり、挨拶することはあまりありません。私のために休日出勤してもらう時などはちょっとしたお菓子などをお礼にあげるのですが、だいたい雇い主経由渡してもらいます。ある日友人のオフィスでサンプルを見たあと片付けていたら、友人に「何をしているのか、持って帰りたいのか。」とたずねられました。片付けているだけ、と答えると「そんなことをしてはいけない。彼女の仕事がなくなるから。」と社員を指してそう言われてしまったことがあります。この国ではお茶くみはたいてい若い男性が専門に雇われていますが、彼を遊ばさないようにお茶を何杯も飲まなければならないのもなかなか辛いものです。
また、現地の人たちは苗字を見ただけで出身地がわかるらしく、都会っ子、田舎者のような区別や地域ごとに民族や言語が異なり、日本でいうところの県民性のような地域ごとの特性があるようです。