実は私のPC歴は長く、1980年代前半でPCが 1台 100万円くらいした時代にさかのぼります。典型的男社会の総合商社では女性が男性と同じように認められるには男性の 3-5倍働かないと無理と言われていた中で、何か差別化をと上司がパソコンを学ぶようにとすすめてくれました。その頃は BASICのコマンドを打ち込んでいかない限り簡単な計算すらできず、短気でじっと座っているのが苦手な私にはこれは無理と数ケ月であきらめました。それでも当時の表計算ソフトで描いたグラフを社内用統計資料に初めて利用、ちゃっかり名前を売ったのを覚えています。
WINDOWS 95が出た時は「これなら簡単」と自宅にデスクトップPCを買いました。それ以降会社員の頃からノートPCと常に 2台持っています。会社員を辞めたのは2000年の 4月ですが、常に会社のPCよりも自宅のほうが最新のOSやアプリケーション・ソフトを備えていたので、このPCが会社にあったらいいのに、としだいに思うようになりました。メールがあれば海外でもタダ同然でコミュニケーションができます。そのうちインターネットのコンテンツもどんどん充実してきたので、図書館へ行き情報を収集する時間や交通費もいらなくなるどころか海外の情報もいながらにして検索できます。これなら一人でも国際ビジネスができると確信するようになりました。
ITリテラシーという言葉が最近使われますが、このITを使いこなす能力は日本の一般ビジネスマンは途上国と比べてもかなり低いと感じています。いまだに原稿を作ってからPCを打っている人がいますが、それではPCはタイプライターに過ぎません。電卓で計算をしながら EXCELに入力している人にいたっては何をかいわんや、です。
特に海外のコンサルタント会社やシンクタンクと仕事をする時はまずは「PC環境」のチェックがあり、必要なアプリケーションを持っていないと仕事ができないのが普通です。このおかげで私のオフィスの電脳化はどんどん進みました。データを送ると「そのアプリケーションはない」「バージョン・ダウンして再送してほしい」と言われるのは日本企業ばかりです。会社にいながらメールをチェックする習慣がない人もいます。それなら名刺にメールアドレスを印刷するのを止めてはどうか、と思わず言いたくなります。
たとえばMS OFFICE は今2010のベータ版が出ています。主流は2007で、その前は2003です。PCの減価償却期間は 4年ですのでほとんど2007になっていて不思議ではありません。私の会社は10数ケ国とコミュニケーションがありますが、そのうち先進国はフランスとニュージーランドのみです。中国だろうとベトナムだろうと国際ビジネスをしている会社は2007が使え、また会社案内など見事なデザインのPOWER POINT を送って来ます。
別に最新のものをそろえる必要はありませんが、PCを使って仕事をしている以上、「好き嫌い」や「もったいない」とは関係なく取引先などの普及率をチェックしてそろえていかざるを得ないでしょう。でなければ「鎖国」状態になります。「日本人は英語が話せる人が少ないからなあ。」と途上国の人にもせせら笑われて久しいですが、そのうち「日本人はPCがちゃんと使えないからなあ。」と言われるのではないかと危惧する昨今です。
河口容子