[119]アウトソーシングからコラボの時代へ

 「アウトソーシングからコラボレーションの時代へ」とよく言われます。私自身も貿易あるいは国際ビジネスという切り口での専門サービスを行なう会社を起こしてから 4年半以上経過していますが、アウトソーシングの形式として効果があがる相手は専門商社、貿易に関する政府機関や国際機関に偏ってしまいます。アウトソーシングというのはいわば外注、下請ですから、サービスを買う側と売る側という労使関係が成り立ちます。ということは、買う側に管理能力が必要で、事実、私の仕事の目的や責任を明示し、成果の評価をしていただくことになります。
 逆に、貿易や国際ビジネスが未経験という相手にいきなりアウトソーシングを依頼されても私の業務内容を十分にご理解いただけないばかりか、方向性のご判断を仰ぐ事もできず、当然評価もしていただけない、成果もあがらないというのは目に見えているので、最近はすかさずお断りすることにしています。この辺が専門職の仕事の世界の難しさです。
 一方、コラボレーション、これは対等の立場でお互いの強みを生かしあう形式の仕事が私の会社でもふえてきました。最近は日本の中小企業の間では特に「コラボ」が流行っていますが、一人前でない者どうしが寄り集まってグループ化したものや自分の利益を得るために誰かを利用するだけではコラボではないと考えます。コラボが成立するのは、お互いに異なった強みがあること、お互いに生かしあうことにより双方メリットがあること、そのバランスが絶妙であることです。

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[114]輸入から起業をめざす人へ

 先週、ある団体で「小口輸入」についてお話をさせていただく機会をいただきました。今回は視点を変えて、サイドビジネスや起業の手段としての小口輸入というテーマです。参加者おひとりずつからいただく名刺のからはまったく想像がつかないほど、いかに多くの方が「輸入」や「輸入商品の小売」に関心を持っておられることに改めて驚きました。素材から高級ブランド品に至るまで日本には輸入品があふれていますし、小売業というのは誰もがお世話になっているわけで一番身近な存在だからでしょう。
 私自身はどんな業種であれ、起業するにはいくつかの心構えがあると思います。まず、ある程度の資金を用意できること、そして何らかのスキルやノウハウを持っていること、具体的なプランを持っていること、リスクを取る勇気があること、自分で決断し行動できることです。
 ときどき相談を持ちかけられるのは「輸入で起業したいのだが何を扱ったら儲かるか」「○○を輸入して起業したいが方法がまったくわからないし資金もない」という内容です。上記の心構えにあてはめてみていただけるとおわかりでしょうが、単なる興味や希望の段階で事業化へ向けての調査研究が一切なされていません。起業というのは単なる思いつきやアイデアだけではできません。それをいかに実現し、収益を得ていくかが起業であり、これはご本人の資金量や能力、経験、性格、職業観、価値観などによって内容は変わってくるものです。本やセミナーで得るのは考えるヒントであったり、必要とする知識だけです。事業計画案を作れるのはご本人しかいないわけです。

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