日本にとって、中国はまず生産拠点、安い労働力を利用する場所でした。そして中国にも中産階級が台頭し始めると次に消費市場として考えられるようになりました。次にクローズ・アップされているのが教育市場です。知人の上海パートナーである調査会社が中国の教育市場に関するセミナーを東京で開きました。世界中の著名企業を数え切れないほどクライアントに持つ調査会社です。
中国では、文革のあおりで勉強をすることができなかった世代50代以上はすでに第一線から退いており収入も少ない層です。彼らの子どもたちである20代後半から40代前半は親に教育にお金をかけてもらい社会でリーダーとなっています。この上海の調査会社の社長もまだ32歳です。また、一人っ子政策になってから生まれた子どもたちが25-6歳になっており、それ以降の子どもたちは両親とその祖父母という 6つのポケットを持つ恵まれた子どもたちです。
中国は実力社会です。少し前ならカンや度胸、根性だけ立身出世ができても今は完全に学歴や資格社会になっています。歴史的に失業率の高い国だけに子どもたちにできるだけいい教育をつけさせたい、というのが親心のようです。国家としても高等教育への進学率を上げたい、識字率を改善したいという方策を出しています。小学校から大学まで全国に50万校あっても巨大な人口をとてもカバーできるものではありません。 5年前に私立大学が解禁となり、昨年は外資との合弁の学校設立が許可されるようになり、大都市ではたちまち語学学校や予備校まで現れるようになりました。科挙の時代から、元祖「お受験」国家だけのことはあります。
[089]初めてのメール
インターネットの発達により世界中の人に手軽にそして電話のような気軽さで手紙を出せるようになりました。私にとって不快なメールが何種類かあります。まずはウィルス・メール、でもこれは機械的にチェックする事が可能です。次に詐欺メール、これは第33号「国際詐欺団」で詳しく書きましたのでそちらをご参照ください。そして次に不快なのは、知らない人からの厚かましい問い合わせメールです。
「検索をしたらあなたのメルマガが出てきたので」というような書き出しから始まるメールを時々いただきます。そのあとは一方的に自分の質問を書きたて最後に「教えてください。よろしくお願いします。」と結んであります。リストに従って送り出される何かの売り込みのメールなら関心がなければ削除するという選択権が自分にはあります。ところが、まったく知らない人からいきなり個人的な質問に答えてほしいと言われても当惑するだけです。メルマガの内容も読んでいないのでしょう。なぜ私に聞くのか、というような質問です。道でたまたますれ違う人にその質問をしてみたら答えてくれるでしょうか。頭が変だと思われるだけです。私も返事はしません。
初めて仕事関係のメールをもらう場合、どこで私のメールアドレスを知ったか書いていない場合は一切信用をしないことにしています。ビジネスというのはお互いの信頼関係がない限り成り立ちません。通常は相手の信用を得るために「○○さんから紹介されました」とか「△△のサイトで御社のことを知りました」と書くのが普通です。
次に信用を得るためには自分の情報も開示します。ホームページを持っていればその URLをつけておくとか、簡単に自社の業容を説明します。ところが最近は何の会社か、住所はおろか国名すらわからないようなメールも来ます。もちろんこんなメールにも返事はしません。
ある日、SOHOの方に仕事の電話をしたところ、奥様が出られて留守ですと電話をきられました。すぐ、ご本人から謝りの電話をいただき「セールスの電話が多いのでいつも留守と答えるようにしているので家内がきってしまいました。」とおっしゃるのです。用心にこしたことはありませんが、過剰な防衛によりビジネス・チャンスを逸していることがあるのではないか、そして同時に善意の電話もつながりにくくなったことを痛感しました。
ましてや、メールという手段では相手の顔も見えないし、声を聞くこともできません。その場で質問することもできません。それをいいことに最初の例のような「恥はかきすて」のような人も出てきますし、悪質な詐欺の温床ともなります。知っている人どうしにとってメールは大変便利な連絡手段です。しかしながら、知らない人から初めてもらうメール、あるいは知らない人へ初めて出すメールはとても神経を使う時代になったといえます。
河口容子