以前、何げなく見たNHKの番組でDNAのパターン別に日本人を調査すると8割程度が中国人か韓国人のパターンで、その次は南方系、一番少ないのは原日本人であるというのをやっていた記憶があります。つまり、人種的に言えば日本人は雑種と言えます。
15年前、ニューヨークのレストランに行った時、韓国人、台湾人と日本人は髪型や服装で簡単に見分けがつきました。現在では、仕事でアセアン各国の方とよくお会いしますが、民族衣装でもつけていない限り、そして黙っている限り、日本人かしら?と思ってしまう方がほとんどです。
実は私は海外では日本人と思われることがほとんどありません。米国で買い物をすればアジア系の米国人と思われ、香港では香港人に思われ、ついにはジャカルタからJALに乗ったところ、日本人の客室乗務員に英語で話しかけられびっくりしたことがあります。
まさか、日本ではそんなことはないだろう、と思っていたものの、ある日お台場のレストランで食事をしていたところ、トルコ人のウェイターが英語で話しかけてきたので英語で5分ほど雑談をしましたが、彼いわく最後に「あなたは日本人ですか?」そのうち、あるパーティでフィリピンの民族衣装のブラウスを着ていたところ、トイレでフィリピン大使館の女性にタガログ語で話しかけられ困ったというエピソードもあります。
先週も香港のビジネスパートナーが来日していました。私たちは英語で話しているので、最低ひとりは外国人と誰でもわかるはずです。ふたりでレストランなどにいると、日本人のスタッフが日本語で話しかけるのは9割以上の確率で香港人の方で、私には英語で話しかけられてしまいます。この状況は、見本市に行っても続き、英語で説明される事も多々ありました。最近は慣れすぎて私も英語で応対してしまうのですが、相手が説明に困っていると「日本語でも結構ですけれど」と言いますが「日本語わかるんですか?」要はまだ外国人だと思っているわけです。
最初から日本語で接している人は私のことを日本人として思いこみ、そうでない場合は日本人でないと認識するようです。つまり、「日本で英語を話しているのは日本人でない」という変な方程式ができあがっているようで、これは日本人の排他性や英語教育の遅れを暗にほのめかしているような気がしてなりません。香港、フィリピンはもちろんそうですが、インドネシア、マレーシアでも特に貿易をやっている人の場合、同じ国民どうしで英語で商談をしている風景は不思議なことではありません。
さて、インド人のスタッフが何人か働いているインド料理のお店に行きました。ここでは英語でオーダーが出せるので外国人のお客さんもたくさん来ています。私は香港人と一緒だったので終始英語で通しました。ここのインド人たちは日本語も話せるのですが、なぜか英語で話すお客さんには丁寧。特に女性には最上級のマナーで接してくれます。日本語で声高に話している日本人たちには、高いメニューを頼んでいるにも拘わらずなぜか冷ややかでした。
河口容子
[021]文化的であること
先日、東京ドームで開催された「テーブルウェア・フェスティバル」に行って来ました。これは一般の人も入場が可能で、しかも写真撮影も許可されています。ウィーク・デーでしたが、ビジネスマン、テーブル・コーディネータ、主婦でこれが不況かと思うほどの盛況でした。即売もあるのでほとんどの人が帰りには重い袋をぶらさげてにこにこと帰っていきます。
海外に行ってつくづく思うのは、日本の食文化の豊かさです。それが器や食卓の小物にも現れ無限大のコーディネーションを生み出します。洋と和の融合、あるいは洋陶のシノワズリー(中華趣味)を受容できるのは日本ならでは。四季の移り変わりやお祝い事など、食物のみでなく食卓全体で表現するというのは何と奥深い文化でしょう。幅広い年齢層の主婦の方が来場していることからいくつになっても学ぶ事を忘れない、そして家族のために配慮を怠らない日本女性のすばらしさを改めて認識しました。
最近は何にでもマヨネーズをかけて食べる若者や激辛料理好きの家族がテレビで取り上げられていましたが、毎日欠かすことのない食にこれだけの文化を持った国にせっかく生まれてきたのですから、味わい、伝承していってほしいと思います。
イタリアのマンマは家族思いだし、フィリピン女性も献身的ですが、日本女性の良さというのは「おけいこごと」の伝統に現れているように、学びの精神や文化的なところにあると思います。たぶん成人の女性でクラブ活動やサークル活動も含め「おけいこごと」的な経験はほとんど誰もが持っていることでしょう。考えてみれば、才能の有無に関係なく、職業に直結するものでもないのにこんなに時間とお金をかけるというのは「ぜいたく」でもあります。
さて、私と言えば会社員時代に陶器や硝子器の輸入をしたことがあり、現在は輸出をしています。個人的にも好きな商品群です。家具の担当をしていた時に個人的にインテリアコーディネータの勉強もしました。テーブルコーディネートも特に来客時などさり気ない工夫をこらすのが好きです。知人がお店をオープンする時お皿やスプーン、フォークのアドバイスを求められたり、友人がVIPの接待の予行演習にお店のチェックをするために呼んでくれることもあります。また、テーブルを彩る花については、生け花、ハンギングバスケットの勉強をしたことがありますが、その後切花の輸入の仕事もめぐってきました。仕事と道楽が一体となった幸せな例です。
河口容子