[008]香港からバスで行く広州

現在は生産基地としてはもちろんのこと、市場としても中国が大ブーム、海外で取引をしたことのない人もどんどん中国へ行ってしまう時代ですが、総合商社に長らくいた、しかも中国語のできない私にとっては、中国とはずっと特殊な国でありました。政治体制の問題、インフラの悪さなど耳にタコができるほど聞かされ続けてきたからです。実際に、顔形が似ていることや歴史的ななじみから中国を日本と同じように勘違いして失敗する人の話もたくさん知っていたため中国へ行くのはずっと躊躇してきました。ところが、私がジャパンオフィス代表を務める香港の企業は広州にも本部を置いているため、いよいよ初めての中国、広州への旅立ちとなったわけです。
広州は観光で行かれる方は少ないかも知れませんが、歴史があり華南の商業都市として、また伝統あるトレード・フェア「広州交易会」で有名な都市です。香港人のオーナーから香港からバスで来たらいいと言われ、「初めての中国へバス?どうやって?」という不安もありましたが、郷に入りては郷に従え、しじゅう往来している人の合理性もあると思うしかなく、不安を冒険心にすり替え自分を励ましながら香港空港に到着しました。

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[007]気がつけば華人社会の住人

最近、香港の企業グループの中の1社のジャパン・オフィスの代表をも兼任することになりました。香港人の特性で友達の友達は友達みたいな感じで私のまわりに香港人が集まるようになり、皆が皆仕事を頼んで行くため手に負えなくなり、もともとクライアントであった上記の会社に業務を集中させ、組織化したい、と知人である企業グループのオーナーに言ったところ、ではジャパン・オフィスの代表者になるように、と言われたわけです。
「クリエィティブで実際的な方法の構築」「勝つか負けるかというようなビジネスではなくそれぞれの自己責任の上に立つ共存共栄」という私と同じビジネス哲学を持つオーナーであり、何でも自分でやってみないと気がすまないところから、土日も深夜まで仕事をするというビジネススタイルに至るまでレベルは違うものの共感する部分があって何の不安もなくお引き受けしました。このグループは香港と広州に本拠を置いていますが、後で考えると10社ほどあるこのグループに日本人は一人もおらず、私も中国語など一言も話せないのに気づき、他人様から見れば勇気のいる事なのかも知れないと思ったりもします。

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