[063]ソワレ・エタップ

仕事柄、私は時々観光地の下見に出掛けます。自費の時が多いのでいつも安宿なのですが、地方の宿で「これは有難い」と思う宿があります。それはSoiree Etape ソワレ・エタップやDemi-Pensionドミ・ペンションというまるで日本の民宿のように朝食と夕食込みのホテルが町中にあること。
田舎に行けばGite de Franceジッド・ド・フランスという民宿協会に登録している一般家庭はあるけれどその殆どが郊外のため車がないと行けない。女性一人旅だと食事をするレストランを見つけるのが大変。言葉に不自由がなかったとしても夜8時過ぎに一人でレストランに入るのはちょっとひける。レストラン側も儲かる時間帯の一人客はあまり歓迎しない。またレストランは大人の社交場としているフランスでは女性がエスコートや同性の同行者もなしでは入り難い雰囲気がおのずとあります。


レストランほどに色々なメニューがなくあるのはサンドイッチか軽食のみのビストロやブラッスリーなら一人でも抵抗なく入れるし店もそれほど一人客を嫌わない。しかし田舎のビストロやブラッスリーはオヤジの社交場。トランプ遊びやダーツにふけっているオヤジ、ピンボールゲームにはまる兄ちゃんがビールをガンガン飲み音楽も派手でやはり女性一人旅には入り難い雰囲気の店もあったりする。もちろん女性一人でも快適に食事が出来るビストロやブラッスリーもあるし私もディジョンでは常連の店があったりする。
でも見知らぬ土地で入り難い雰囲気の店の前の立ち往生やマクドナルド直行というのも悲しい。だからソワレ・エタップやドミ・ペンションのホテルがあったりするととても嬉しくなる。これなら朝食のみならず夕食も入っていて大抵はその土地の郷土料理が定食メニューになっていることが多いのでわざわざ外へ出て郷土料理の店を探す手間が省けるというもの。
また連泊の場合、最初の夜にワインをボトルで注文し飲みきれなかったとしても翌日の食事にそれを飲み続けることが出来るのでワイン好きにはたまらない。ブルゴーニュやボルドーのようなワインの産地ならグラスワインでいろいろと楽しめるし、グラスワインもかなり種類が多いけどワインで有名でない地方のグラスワインは南仏のお手頃ワインが中心。こういう場所でやはり美味しいと思えるワインを飲むならボトル注文でやっとお目に掛かれる。
食卓からベッドまでほんの数分、だからついつい食後酒までの深酒。やっぱり酒豪の私にはソワレ・エタップが欠かせない。
夢路とみこ