今年も無事にクルーズシーズンを迎えた。この冬あんまり寒いから運河の氷が溶けなかったらどうしよう、船内改装工事終了が間に合わなかったらどうしようとハラハラさせられる事もあったけれどでもこれで一安心。冬の間、アルプスのスキーリゾートで働いてたり、アフリカやアジアに数ヶ月バックパック旅行をしていたクルーたちが元気に戻って来た。でも、全員が戻ってきた訳じゃない。中には去年を最後に丘に上がった者も。
以前にも紹介しましたがクルーは３月から11月までの9ヶ月間ずっと船で共同生活します。日本のユニットバス位の広さしかないクルーキャビンで彼らは寝起きし、乗客の入れ替えとなる週末の24時間だけが事実上のオフ。毎日移動しているから仕事を終わった後にちょっとお稽古事なんてのはない。船内にはTVも無ければ、ネットサーフするにも回線が不安定すぎる。乗客にとって僅か1週間の「離れ小島」状態でも彼らにはそれがワンシーズン。
若くて独身なら恋もできよう。毎日ともに泣き笑いするから気心知れていて構える必要がない。でも、既婚者のクルーにとってこの船上生活はちと辛い。船尾で生まれたばかりの子供の写真を見て涙するシェフや電話で夫婦喧嘩をする女性クルーなど幾度も見た。そこまでして船に乗る？好きだから。若い頃なら良い、いろいろな場所へ行けるし、美味しいものも食べられる。でも、生活が独身から既婚になったとき、年を重ね現場の枠が狭く飛躍できないと感じ出したとき、船の楽しさよりも丘に上がれない虚しさを感じ出す。
そして彼らはある日決心して丘に上がる。丘に上がった河童たちがみんな成功したわけではない。衣食住を会社に負担してもらっていた生活から全て自分で賄う事にやけになった者も知っている。丘に上がった事で長い間知らなかった競争社会を知りもがきながら頑張る河童たちも知っている。そして彼らのもてなしの心とサービスは丘に上がってもあせることなくいつも輝いています。
ディジョン：元船のシェフ、スティーブが開いたレストラン
Cote de Saint Jean 13 rue Monges 03.80.50.11.77
JCBカードも使えるようにしたとこのカードを持たない私に自慢してました。
ニュイ：元船のガイド、アーメルがガイドするワイナリーツアー
Wine and Voyage http://wineandvoyages.com
夢路とみこ