[245]シャンブルドット(1)

最近シャンブル・ドットへの宿泊依頼が増えてきました。それは多分、ガイド本やサイトで紹介される機会が増えてきたので認知度が高くなってきたからでしょう。パリだけでも100件以上あるのに旅行会社での取り扱いが殆どない理由はたぶん業務としての利益が薄い、手配する側としては骨折り損のくたびれ儲け的なものだからだと思います。それは私も手配しながら良く思うこと。
これだけ時間をかけて手配しても手数料としてもらえるのは日本円で1000円程度。でも、手配するための電話、ネット利用、メール回答に受け入れ先家庭への訪問にかかる時間給を考えると、手配する事がかなり赤字になることばかり。なんでそこまでしてこれをするのかというと、私自身がシャンブル・ドットが好きだから。旅行していてこれほど面白い宿泊先はない、オーナーの趣味嗜好が家庭に現れている。
昔泊まったロレーヌ地方のオーナーは「発明オタク」特許も取っているけどなかなか売れない便利グッズを作っていた。「発明オタク」になる前は庭師だったという。彼のお宅のお庭もさすが庭師だけあって素晴らしかった。自然を愛し、自然に生きている人で朝食に出してくれたパンは自分で挽いた粉で焼いたパンだった。
南ブルゴーニュの農家のオーナーは食卓に出してくれたものは全て自分の菜園、家畜で作った料理だった。シャロレー牛をなでなでして写真もたっぷり撮って、夕飯にブフブルギニヨン(牛肉の赤ワイン煮)に舌鼓を打ったのはなんて残酷な私。でも付け合わせにでた人参の甘さには感動すら覚えました。チーズ以外は全て手作りとか。
パリのシャンブル・ドットのオーナー達にも驚かされます。とあるお宅はまるで忍者屋敷。外から見るとよくある素敵なオスマン様式。中へ入ったらそれはアパルトマンというよりもまるで1軒家。隠しドアじゃないんでしょうけど、アムスのアンネ・フランクの家を思い出すような、意外な場所に部屋があるわあるわ。
そうかと思えば、パリの中心街にあるお宅は完全に1軒家。アパルトマンの裏庭にあるから外からはこんな大きな1軒家が後ろに控えてるなんて全く気づかない。画家のマダムの趣味なのか、お庭がとても綺麗。テラスもあり外で買ってきたものをここで食べても良いらしい。駅周辺には美味しいパン屋とお惣菜屋とワイン屋があった。ホテルとは違う体験が出来る、フランスの一般家庭が垣間見れる、それがシャンブル・ドットです。
夢路とみこ
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