[184]南ブルゴーニュの休日(1)

ブルゴーニュ地方第二の都市マコンはソーヌ川に掛かる美しい石橋のライトアップがとてもロマンチックで絵葉書でも良く紹介されている所です。実はこの橋、第二次世界大戦の時にドイツ軍に破壊されたのを後に復元したものです。この橋の先はレジスタンス活動の盛んな町、リヨン。パリのレジスタンスとリヨンの活動家達の往来には欠かせない大事な橋であり、またこの橋を渡って多くのユダヤ人や共産主義者がアルプスを経由してスイスに逃れたとも聞いています。それ故に格好の爆撃対象に選ばれたのでしょうが。前の会社の船はソーヌ川を良くクルーズしていたのでマコンで停泊する夜はこのロマンチックな橋の光景にうっとりとしたものです。そして市内にある観光名所で中世に建設されたMaison deBoisという美しい建物の下にあるカフェへお客様が寝静まった後、クルー達とともに「一杯ひっかけ」に行ったものです。

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[169]にわかブルギニヨン2

東京で外人ハウスに住んでた頃のある日、隣のスイス人が困った顔をして声を掛けてきた。勤務先の大学を3ヶ月休んで研究している日本の古典芸能を堪能しに来たけど歌舞伎以外は英語イヤフォーンがないから困ってる。もう1ヶ月にも経ったのに能も狂言も見に行ってない、助けてくれと。
可哀想だから能、狂言に付き合ってあげたら、今度は「回転寿司」に行きたいという。私の分だけで5000円以上も払わせたのは非業と思いきも、残りの2ヶ月は銭湯でオヤジと背中の流しっこ、立ち食い蕎麦、新橋のガード下でコップ酒を堪能し、帰国の日の朝、目を潤ませて「とみこのお陰で期待していた以上の体験が出来た。会えて良かった」と言った。その後も私は外国人向け「にわか都内観光局員」にさせられてしまった。
そう、旅行者がお決まりの観光地見学の次に味わいたいのはにわか現地人生活、ジモティ暮らし。外国語に多少の自信があってもそこは未知の土地、知り合いもいないから諦めるしかない。
私の周囲で日本語を勉強するフランス人はそう多くないけれど、皆頑張ってる。物価の差から日本人が渡仏する程にはフランス人は来日出来ない。漫画や留学生との会話では上達に限界がある。もっと話したい、もっと知りたい、と彼らの望みはどんどん膨らんで行くのにその方法がない。

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