恋人でもない異性との共同生活に抵抗があるか、というとそうでもない。私達の場合、抵抗もなければ危険もない。同棲だったらやっぱりいつも身支度を綺麗にして捨てられないように努力しなければならないのでしょうが、私は引っ越した当初からすっぴん顔を見せ、大食漢の大酒呑み、朝帰りも何度かしたので隠す所がない。
彼の15年間に及ぶ歴代共同生活相手は全て女性。日本人女性も多く、そのプロフィールも様々。入居した日には、過去の入居者の日本人女性が遊びに来ていてその暮らし振りなどを聞かせてもらった。たまたま私の入居先が良かったというかもしれない。中には語学交換と証して日本人を食べ漁る男性も多いのは事実だし、コ・ロカシオンでレイプというケースも少なくはないらしい。しかし、これらが全て男性側に非があるかというと、そうでもない。私が昔いたアメリカでは「イエロー・キャブ」と言葉が流行してたくらいだから。喧嘩両成敗であるように、男女の性的関係においてどちらかの非を追求するのは難しい。
[194]コ・ロカシオン(1)
私の海外生活の中で一番長く、5年半も住んだディジョンを離れようと思ったのは仕事に限界を感じたから。米国企業での勤務の厳しさは自分でも十分に分かっているつもりだったけど、一連の飛行機事故や疫病など渡航者の数が激減する事情が続き会社の期待する成績が出せず、また、私が思うような市場開拓に上司の了解が中々得れず、ビジネス文化の差に圧迫され、とうとう堪忍袋の緒が切れた。結局、会社からは自主退職を促され、精神的にもかなり参っていたので契約条件を盾に戦う事もなく辞めた。ずっと頭の中を過ぎっていた帰国、日本での再出発をするには良い機会かもしれないと思った。
帰国すると決めたら、シラク大統領と同じ射手座の私、すぐ行動に移る。まずはネットで帰国後の住居探し。家なき子の私にとって住居は大問題。アパートを借りるにも保証人とか、敷金、礼金、家具の買い揃えなどと問題は山積み。落ち込んで帰国するのにそんな更なる圧迫には耐えられない、だから「ルームシェア」を思いついた。学生の時も海外赴任の時も何度かアパートを一緒に借りて共同生活した経験があったので。毎日ネットで検索し、帰国後の東京での楽しい生活を想像するだけで不安が少しづつ和らげられて元気になって来た。