うちの船旅、6泊7日の間、3食も出すのだからいかに飽きさせずフランス料理とその文化を楽しんでもらうように工夫するかはシェフの仕事。通常のレストランのように注文に応じて作るだけでなく、経営者のように予算、カロリーそしてバラエティーの計算もする。そして彼らの腕が私の営業活動の仕事に大きく影響する。
私には料理の三銃士がいます。お客様から頂いた鰹節や漬物で即席フレンチを作るブーちゃんことブノワ、弱冠23才で10年近くのキャリアを持つバンちゃんことシルヴァン、そしてその鋭い感性と冷静な洞察力が料理のみならずホテルバージ運営にまで注意を払うジェーシーことジャン・クリストフ。私は縁があってジェーシーと仕事をする事が多く彼から学ぶことは未曾有。
職人は技術には長けているけれど管理運営となるとさっぱりという人が多い中、ジェーシーの気質に職人と管理職の双方を感じる。確かに料理については拘りもあるようだが、顧客のニーズに合わせるという営業面も忘れてはいない。自分の味を押し付けるのではなく自分の味を様々な嗜好の人に合わせる事で進化させようとする研究熱心さがある、チャレンジ精神旺盛の人だ。
[121]私のわらじは多足かな
私の仕事は二つ、滞在型観光船である弊社の船、ホテル・バージ旅行の市場開発と販売を含めたマーケティングそして日本から団体乗船客があるときにコーディネーターとして船に乗船しこまごまとした仕事をする事。弊社には日本人私一人しかいないからとりあえずは二束のわらじで仕事をしていますが、船に乗るとそのわらじが3足にも4足にも増えます。
船でのお仕事。朝6時起床。お粥作りで朝が始まります。欧米風朝食ビュッフェに日本のお粥は箸休めになると好評。船のクルーたちも時々相伴しています。それも牛乳と砂糖を入れて甘くして。
お客様が観光に出かけるのは午前か午後のどちらか、残りの半分はクルーズ時間。ワイナリー見学時の通訳以外は添乗員さんが通訳されるので私はお留守番。その間に食事のメニューや明日の予定表の翻訳と配布の準備。メニューの翻訳は食いしん坊の私の腕の見せ所。シェフが頑張って美味しいものを作るのですから、それに相応しい日本語でお客様の食欲をそそらねば。